米国のトランプ大統領は2025年に政権の座に返り咲いて以来、世界のさまざまな国を対象に高額な輸入関税を課している。この措置で、特に大きな影響を受けている国の一つが中国だ。

一方で中国はレアアース関連品の事実上の輸出規制を行うようになった。本来は米中の対立のはずだが、EUは中国のレアアース関連の措置により「とばっちり」を受けている。フランスメディアのRFIは仏紙ル・モンドを引用するなどで、EU企業の状況や動きを紹介した。

中国に進出したEU系企業の団体である中国EU商会はこのほど、「輸出規制:中国の新たな戦略的ツールボックス」と題した報告書を発表した。この報告書は、レアアースや黒鉛などの重要鉱物の供給を受ける多くの在中国EU系企業による不満の声を紹介した。EU系企業は、煩雑で予測不可能な中国側の審査手続きとそれによる遅延が企業の運営を深刻に混乱させ、最終的にこれらの在中国EU系企業の競争力を弱めたとみなしている。

中国EU商会のイェンス・エスケルンド会長は、在中国EU系企業と中国当局の間の「行政消耗戦」について「中国のサプライヤーは、我々EUの顧客と協力して、省レベルの商務部門から始まり、時には(中央政府の)商務部副部長やその専門家委員会にまで報告しなければならないほどです。中国の多層的な官僚機構に可能な限り詳細な情報を提供せねばならないわけです」と説明した。最短の承認時間は45日とされているが、日数はしばしば倍になる。しかも事態はこれだけに終わらない。エスケルンド会長はさらに、「最終的に輸出許可証を取得したとしても、中国の税関は依然としてサンプルを専門の実験室に送って検査することがあります。実験室の数は限られており、このことで、さらに数週間の時間が追加されます」と述べた。

中国側は手続きを簡略化するためとして、「通用許可証」の制度を導入した。理論上の有効期間は3年だったが、実際には大部分がわずか1年だ。エスケルンド会長は、「約48%の関連会員企業がすでにこのメカニズムを利用していますが、やはり制限があります。承認された商品の数量は、有効期間全体にわたって四半期ごとに均等に割り振らねばならないのです」と述べた。

ル・モンドは、「中国は国家安全と武器拡散防止を名目に、行政手続きを経済的圧力の手段に変えている」と評した。エスケルンド会長は、中国の措置について、「これらの輸出規制は経済での(中国に対する)依存構造を作り出し、政治目標を実現することを目的としています」との考えを示した。

ル・モンドはさらに「中国当局が供給についての地位を圧力の手段として利用していることは、EUに代替サプライチェーンの構築を加速させることにもつながっている」と指摘し、このことは長期的に見れば、中国に悪い影響をもたらすと評した。なぜなら、EU企業の中国離れが進めば、中国は力を入れているハイテク製品などについて、EU市場への販売が後退すると考えられるからだ。中国が開拓に力を入れているグローバルサウスでは、ハイテク製品の購買力が十分に高まっていない。

中国は改革開放政策を始めるにあたって、外資企業に対して中国という巨大市場の門戸を開く一方で、「交換」の形で中国国内に工場を開設することを求めた。その結果、先進国の優秀な技術が中国国内に移転することになった。中国EU商会のエスケルンド会長は、この「中国方式」をEU側も採用すべきとして、「EUはより明確に中国に対して要求を提示すべきです。

すなわち、中国企業が電気自動車(EV)の輸出を続けたいと望むのなら、欧州で研究開発と生産を行わなければならないことにするのです」と述べた。

エスケルンド会長は、EU側は米中の対立によってもたらされた状況に、「受け身」で対応していてはならないとの考えを示し、「EUと中国政府は合理的な枠組みを策定し、規制を軍事用途の範囲内に制限し、それによって民生用の産業が発達するようにせねばなりません」と、主体的に行動すべきと主張した。(翻訳・編集/如月隼人)

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