◆JERAセ・リーグ 中日4―9巨人(10日・バンテリンドーム)

 巨人が中日に逆転勝ちし、連敗を3で止め勝率を5割に戻した。「8番・遊撃」で6試合ぶりにスタメン出場した浦田俊輔内野手(23)が6回に逆転の2点三塁打を放つなど3安打、自己最多4打点の大活躍。

チームが今季最多9点を奪う原動力となった。また、坂本勇人内野手(37)が8回に代打で左前打を放ち“打撃の神様”川上哲治を超える通算1664本目の単打をマークした。1日で3位に再浮上したチームは12日から広島との2連戦(岐阜、福井)に臨む。

 ユニホームを泥だらけにして滑り込み、右手を突き上げてほえた。普段は表情を崩さない男が、感情を爆発させた。「試合に出ることが最近、少なかったけど準備はしていた。気持ちは入ってました」。3―4の6回2死二、三塁。外角150キロを捉えた打球は前進守備の右中間を深々と抜けた。逆転の2点適時三塁打がプロ初のV打。3連敗中は計4得点に沈んでいた打線をよみがえらせた。

 バットと足でダメ押しも一手に引き受けた。

二塁走者だった8回2死一、二塁で吉川の右前打で捕手のタッチをかいくぐり生還。3点リードの9回2死二、三塁では左中間へ2点適時二塁打で試合を決めた。宿舎の朝食会場でバッタリ会った阿部監督に「今日、ショートで行くぞ」と告げられて腹をくくった。3安打4打点で6戦ぶりの先発起用に満点回答だ。

 阿部塾の効果はてきめんだった。8日の3連戦初戦の試合前練習。ティー打撃中に歩み寄ってきた阿部監督に「逆方向に打ったり、試合を想定した練習を」と説かれた。直後のフリー打撃は徹底して逆方向へライナーを飛ばし「成果がもろ試合に出た」。教えを授けた指揮官も「あれぐらいできるんですからね。今はチャンスだと思ってやってほしい」とうなずいた。

 特別な日の躍動に思いもひとしおだった。母の日の試合前、長崎に住む母・智美さんに「いつもありがとう」とLINEした。

バレーボールで全国高校総体優勝経験のある母は「気遣いができて優しい」。手料理の唐揚げとシチューが大好物で、愛情たっぷりに育ててくれたからこそ今がある。兄、妹と合同で購入したドライヤーが家に届く前に、とびきりのプレゼントをバットで贈った。

 浦田のバットに導かれ、チームは7試合ぶりの5得点以上となる9得点で大勝し、勝率を5割に戻した。阿部監督は「併用はしないですね。泉口は調子を戻さない限りは出しません」と浦田の遊撃起用を継続する方針を示唆。昨季3割打者で内野の要をベンチに置く異例の方針を敷くほど、指揮官の期待は大きい。「(3連敗中で)流れは悪かったですけど今日勝てて、あさっての試合をできるのでよかった」と浦田。シンデレラボーイとなれるかは、これからにかかっている。(内田 拓希)

 【堀内恒夫Point】 浦田はピッチャーからすれば、嫌な打者だよ。的が小さい上に、ミートがうまい。パワーがないかと思えば、前進守備ではあったけれど、右中間を越える長打を打った。

8回に四球を取ったように打席でのしつこさがある。今の巨人に必要なのは、このしつこさだよ。まだ多少の淡泊さがあることは否定できないが、もう少し、場面を考えて野球をやれるようになれば、素晴らしい足もあるし、2番に使いたい選手だね。(スポーツ報知評論家・堀内 恒夫)

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