◆第21回ヴィクトリアマイル・G1(5月17日、東京競馬場・芝1600メートル)

 堂々たるレースぶりで最速を知らしめた。エンブロイダリー(牝4歳、美浦・森一誠厩舎、父アドマイヤマーズ)は前走の阪神牝馬Sで単勝2・8倍の1番人気に応え完勝。

最内枠からハナを切るとそのままスピードを緩めることなく逃げ切った。香港マイル11着からの復帰戦。森一調教師も「香港が大きな負けで半信半疑でした」と不安を抱く中で、G1・2勝の底力を改めて証明した。

 一方で、快勝ぶりが新たな不安要素も生んだ。ヴィクトリアMを前走逃げた馬が制したのは、過去20年間で08年のエイジアンウインズただ1頭。エリザベス女王杯含め、牝馬限定G1では近10年で1頭も勝っていない。だが、トレーナーは「枠順の関係で逃げましたが、想定の範囲内です。道中も折り合い、息も入ってしっかり脚を使えました」と、どこ吹く風だ。

 1週前追い切りの7日には、美浦・Wコースで僚馬の後ろに入れ「折り合いとしまいの確認をしました。前半は力む部分もありましたがコントロール範囲内でしたし、マイルを使うぶんにはいい推進力があったと思います」と調整に余念はない。ラスト1ハロンは同日で2番目に速い11秒1(5ハロン65秒9)をマークし、仕上がり途上だった前走よりも、一段と動きが上向いた印象を受ける。

 競走馬として完成の時期に入る4歳春。

桜花賞時に482キロだった馬体重は、前走で496キロまで増え「体つきがひとまわり大きくなり、体幹もしっかりしてきました」と、フィジカル面の充実度も著しい。東京マイルは昨年のクイーンCを制した実績舞台。「すごく強い内容でしたし、前に行っても後ろに行っても能力を出せる馬なので、力を出せる舞台だと思います」。ただ勝つだけではなく、どう勝つか。主役に求められるのは圧倒的な勝利だ。(角田 晨)

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