DeNA・山本祐大捕手(27)とソフトバンクの尾形崇斗投手(26)と井上朋也内野手(23)の「1対2」トレードが合意したことが12日、両球団から発表された。山本は24年にベストナインとゴールデン・グラブ賞に輝いた実績十分の“ハマの正捕手”。

扇の要がシーズン途中に移籍する、超異例のトレードになった。DeNAは28年ぶりのリーグVを目指すため、先発投手の補強を模索。山本を高く評価するソフトバンクと思惑が一致した。

 青天の霹靂(へきれき)だった。DeNAの正捕手・山本はこの日の朝、横浜スタジアムでソフトバンクへのトレードを通告された。この日は先発するエース左腕・東克樹と、23年にセ・リーグの最優秀バッテリー賞を受賞した名物バッテリーを組むはずだった。それが一転―。報道陣に、率直な思いを明かした。

 「すごくビックリしてます。今季も捕手として、一番出させていただいたので(28試合)。東さんは僕が1軍にいさせてもらえるきっかけを作ってくれた人。まさか東さんがきょう先発で、トレードで試合に出られない…バッテリーを組めないのは、だいぶグッと来ました」。

言葉の端々に、無念さがにじんだ。

 「1対2」のトレード成立。ソフトバンクの尾形は先発もこなせる速球派右腕で、井上は20年ドラフト1位の右の大砲だが、実績面や年俸面から考えても“不均衡”に映る。それでも断行した理由とは。木村球団社長が明かした。

 「一番の理由は今年優勝するため、中長期で強いチームであり続けるため。投手陣がずっと課題で、外国人頼りの先発投手陣だった。日本人で投手陣の層の厚みを作ることは、最重要課題と認識しています」

 補強を模索する中でソフトバンクから「山本祐大」の名が出た。同社長も「日本を代表する捕手」と認める軸の一人だが、幸いにも高卒4年目の22年ドラ1・松尾や11年目のベテラン・戸柱ら捕手陣は整っていた。「課題を埋めていかないとリーグ優勝が遠のく。そうなる前に」と決断した。

 バッテリーコーチ時代から山本を指導した相川監督は4月下旬、「牧と一緒にチームを引っ張ってほしい」と期待を口にしていた。

「個人的な感情は当然ある。さみしさはありますが、アイツのことなんで、どこに行ったって素晴らしい選手でい続ける」と前を見据えた。山本も言った。「5、6年前、筒香さんに『ソフトバンクで出られるような捕手が正捕手だ』と言っていただいた。頑張りたい」。山本放出という勝負手は正解か、あるいは―。答えは、秋に出る。(加藤 弘士)

 ◆シーズン途中の主力級の主なトレード

 ▽2001年4月 最下位に低迷する横浜は波留敏夫外野手を放出し中日から山田博士投手、種田仁内野手を獲得。波留は1999年に130試合出場で打率2割9分8厘、15本塁打、70打点。翌年は60試合出場で打率3割1厘。

 ▽11年6月 巨人は工藤隆人外野手に金銭を加え、ロッテからサブローを獲得=写真上=。サブローはロッテで主軸も任され、その時点で通算1114安打、109本塁打だった。

 ▽19年6月 オリックス・松葉貴大投手、武田健吾外野手と、中日・松井雅人捕手、松井佑介外野手との2対2。松井雅は18年、捕手としてチーム最多の91試合に出場していた。

 ▽20年9月 巨人・沢村拓一投手とロッテ・香月一也内野手=同下=。10年ドラフト1位で巨人に入団した生え抜き投手の電撃移籍だった。

 ◆山本 祐大(やまもと・ゆうだい)1998年9月11日、大阪府生まれ。27歳。京都翔英では3年夏に甲子園出場。BC滋賀を経て17年ドラフト9位でDeNA入団。24年に108試合に出場し、独立リーグ出身者としては初のゴールデン・グラブ賞を獲得し、ベストナインにも輝いた。プロ通算396試合出場で打率2割5分6厘、14本塁打、111打点。180センチ、87キロ。右投右打。

年俸7300万円。

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