◆第93回日本ダービー・G1(5月31日、東京競馬場・芝2400メートル)

 春競馬のクライマックス、第93回日本ダービー(31日、東京)で、リアライズシリウス、アウダーシアの有力馬2頭を送り込む手塚貴久調教師(61)=美浦=は、勝てば64年ぶり5人目のクラシック完全制覇となる。23年にはソールオリエンスで首差2着、昨年はマスカレードボールで3/4馬身差2着と惜敗。

「ものにしたいなという思いは強いです」と6度目の祭典への挑戦に強い意欲を見せている。

 はっきりとした口調に勝利への執念が宿る。リアライズシリウスとアウダーシアの有力馬2頭で悲願の日本ダービー初制覇を狙う手塚久調教師は、十分な手応えを持って大一番へ向かう。勝てば史上5人目となるクラシック完全制覇(※)の快挙もかかっており「ここ3年で2着が2回ですからね。ダービーへの思いは強いです。その思いは間違いなく、年々強くなっています。ものにしたいなという気持ちは強いです」と強い言葉で意気込んだ。

 悔しさを糧にしてきた。無傷3連勝で皐月賞を制し、初めて1番人気でダービーに挑んだ23年のソールオリエンスは、首差2着に惜敗。昨年のマスカレードボールもゴール前の懸命の追い上げ及ばず、3/4馬身差の2着と涙をのんだ。「ソールオリエンスのときは、勝てるんじゃないかと勝手に思っていたんですけど、やっぱり甘くなかったです。マスカレードボールの場合は、もっと(気性的に)難しい子だったので、彼のパフォーマンスをどうすれば引き出せるかということばかりで、あまり勝ち負けみたいなことは考えていませんでした。

今年は本当に楽しみな気持ちです」と、ひと味違った心境だ。

 皐月賞の2着から逆転を期すリアライズシリウスは、先行策から自分の形で競馬がつくれるのが強み。「皐月賞であそこまでの競馬ができるのであれば、距離は大丈夫じゃないかなとは思っています」と底力に期待する。スプリングSで重賞初制覇を果たした後、日本ダービー一本に絞って直行するアウダーシアは鋭い決め手が武器。「まだ気持ちの幼い面はあるが、最後の末脚は、たけているものがあるので、それをダービーで存分に発揮してくれたら」と能力を信じている。

 12年にアルフレード(13着)で初めて出走して以来、今年が6度目のチャレンジだ。「最初に使ったとき、他のGIと全然雰囲気が違うなと思いました。やっぱり出走させたいという気持ちが強いレースですよね」。競馬の祭典の重みをかみ締め、関東のトップトレーナーが夢をつかみ取る。(坂本 達洋)

 ○…手塚久厩舎が送り込むリアライズシリウスとアウダーシアは26日、朝一番に美浦・坂路をそれぞれ単走でゆったりと駆け上がって調整した。手塚久調教師は「2頭とも雰囲気は落ち着いていていいです」と気配の良さに目を細めた。27日に予定している最終追い切りに備えて、順調な仕上がりを見せている。

 (※)クラシック全勝調教師は尾形藤吉、武田文吾、田中和一郎、藤本冨良の4人。手塚久調教師が達成なら、1962年のオークスで決めた藤本師以来、64年ぶりの完全制覇となる。

 ◆手塚 貴久(てづか・たかひさ)1964年9月20日、栃木県生まれ。61歳。慶大を卒業後、89年にJRA競馬学校厩務員課程に入り、同年10月から美浦・相川勝敏厩舎で厩務員に。その後は美浦・佐藤全弘厩舎で調教助手などを経て、98年に調教師免許を取得。99年3月に開業してJRA通算741勝。重賞はフィエールマンで連覇(2019、20年)した天皇賞・春などG110勝を含む44勝。地方の足利競馬(03年廃止)で調教師として活躍した佳彦氏を父に持ち、今年3月に長男の貴徳調教師が新規開業して、親子3代でトレーナー。

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