◆日本生命セ・パ交流戦 2026 巨人5―4オリックス(3日・東京ドーム)

 巨人がドラマチックすぎる逆転劇で、ミスターの命日に勝利をささげた。昨年89歳で永眠した長嶋茂雄さんの一周忌となった3日のオリックス戦は「FOR3VER 6・3~長嶋茂雄~」と銘打たれた特別試合として開催。

1―4の8回1死から3連打で塁を埋めると、丸佳浩外野手(37)が自身3年ぶり3本目の代打満塁弾を放って試合をひっくり返した。先発・戸郷が2回に危険球退場する緊急事態を必死の継投でしのぎ、4番手で2回1失点の堀田が2年ぶりの白星を挙げた。

 感触が残るバットを右手からそっと離した。丸は自然とスキップしながらベンチを指さし、右手を強く握りしめた。「長嶋さんが打たせてくれたホームラン。僕はそう信じているので、本当に感謝したいと思います」。会心の当たりは「ミスター、感動をありがとう」と書かれた、長嶋さんがほほ笑むセコムの看板の近くまで飛んだ。

 1―4の8回1死。2番手・椋木から佐々木、泉口、松本の3連打。満塁となり、代打で打席へ向かった。持ち前の選球眼でフルカウントに持ち込み6球目、内角低めの148キロ直球を振り抜くと、打った瞬間にそれとわかる2号逆転満塁本塁打だ。代打満塁本塁打は自身通算3本目でプロ野球4人目、セでは2人しか達成していない。

長嶋さんばりの勝負強さを発揮した。

 この日は同じ千葉県出身で、巨人の、球界の大先輩である長嶋茂雄さんの一周忌。18年オフに広島からのFA移籍を熟考した際には「一緒に野球ができたら僕としてもうれしい」と熱い直筆の手紙を送られ、背中を押された。「触ったらだめです。誰も触れないところに置いてあります」と手紙は大事に保管中。内容はしっかり胸に刻んでいる。

 21年6月に不振で2軍落ちすると「今日は丸と話がしたくてジャイアンツ球場に来ました」と、長嶋さんがG球場を電撃訪問。「僕みたいな選手に声をかけていただいて。ご指導いただいて、本当に夢のような時間でした」。構えの姿勢や体重移動を、身ぶり手ぶりを交えて教えを受けた。「試合に入るにあたって、本当にそのことを思い出しながら練習に臨んだ。ここ一番で最高の結果になってくれたので、改めて非常に感謝しています」。

劇弾にはミスターから伝授された技術が込められていた。

 プロ19年目の今季、4月に37歳を迎えた。「擦り傷とか、切り傷の治りが遅くなりました。かさぶたになかなかならない」と“丸節”で体の変化を語る。また、「階段の上り下りがちょっとゆっくりになったかもしれない。よっこいしょになった」とユーモアを交えた。それでも「プレーする上では、そんなにないかな」。ウェートトレーニングで扱う重量はチームで1番。衰えを知らない丸はずっとナインの中心にいる。

 チームは2カード連続勝ち越しを決めた。「やっぱりプレーヤーとして元気に、ハツラツとやるのはもちろん」と全力プレーを誓った背番号8。「天国から『あきらめるな』とずっと言ってくださったと思う。

今日のように劣勢だとしても最後まであきらめずに戦い抜くというのは巨人軍として欠かせない」。大事な1日に、特別な1勝を空に届けた。(臼井 恭香)

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