この記事をまとめると
■BMWがアメリカでワークショップを開催■新型BMW M235に試乗することができた
■BMW M235のデザインや走りについて解説する
新型BMW M235グランクーペに試乗!
新大統領誕生でわくアメリカ・サウス・カロライナ州に飛んだ。この地は古き良きアメリカを感じる南部だが、たしか20年くらいまえにサターンの工場見学で南部を訪れたとき以来のこと。自然豊かな場所だったと記憶しているが、最近の南部はポストシリコンバレーといわれるように、テキサスを中心にハイテク企業も増えてきている。
じつはこの工場には、驚くことヒト型の二足歩行ロボットが試験的作業に従事する。血がかよった人間がいない工場でヒト型ロボットともし遭遇したらと考えると「ゾッ」とするかもしれない。自動運転もそうだが、あらゆるモノ・サービスがロボット化され、多くのテック企業が取り組んでいる。
さすがアメリカと思ったのは、帰りのシャーロット空港のラウンジで見た光景だ。大型のアップル製ビジョン・プロ(ゴーグル)を装着し、まるで浮遊病者のように振る舞うIT好きのおじさんがいた。空港ラウンジではサイバー空間でゲームを楽しんでいるらしい。くれぐれも飛行機に乗り遅れないようにと忠告した。このようにデジタル技術が暮らしや働く現場に浸透しているアメリカは、「昔の古き良き」とはいえなくなってきたのが残念だった。
早速、新型BMW M235グランクーペをテストドライブする。まず混乱しないように2シリーズを整理する必要がある。

まるでステアリングに神が降りてきたような走り
まずはデザインチェックから。1シリーズと同型のプラットフォームを使うが、ボディパッケージはハッチバックではなく、大人が楽しめるセダンベースのカッコいい4ドアクーペだ。その原点はインプレッサやランエボではないかとBMWのエンジニアに問いただすが、さすがにこの2台は知らないらしい。それよりも、BMWは美しいクーペスタイルに4ドアセダンという機能を合体させたから、どうですか? と自信をのぞかせる。じつはドイツのデザイナーが重視する思想は「バウハウス」。これは「美は機能をフォローする」という意味で、セダンという機能と美を融合させたデザインと理解できる。
こうしたセダン・クーペスタイルを、イケてる大人がほしいと思うのは私だけではないだろう。M3までの性能は要らないが、そこそこ早いセダンがほしいのだ。

コクピットに乗り込み早速ドライブするが、太めのステアリングホイールをグリップするとBMWのMモデルだと気づく。BMWの工場に隣接するテストコースで200キロ近いスピードで走ることができたが、M235はFFベースのAWDで、エンジンは2リッターターボ。ギヤボックスはミニと同じツインクラッチの7速だ。だから小気味よくギヤチェンジが楽しめる。もちろんエンジンのレスポンスは文句ない。
ハンドリングは秀逸だ。まるでステアリングに神が降りてきたような正確なライントーレスをもつ。BMWはアルファロメオと同じく、アンダーステアを嫌い、ステアリングに魂を込めている。70キロくらいで旋回するコーナーを攻めると、まるでゴーカートのような感覚だ。これはミニと同じだ。やや路面が濡れていたが、タイヤが滑りそうになると、「DSC」が的確にブレーキ制御を介入させ、クルマを安定させる。

公道では乗り心地中心に評価したが、ダンピングが利いたライドフィールは悪くない。ときおり、荒れた路面ではタイヤとサスペンションの硬さが気になったが、BMWネスを好むなら、十分に許容できるものだろう。
高速道路ではないが、流れがよい公道ではADASを試すが、先代モデルよりもさらに進化し、とくにステアリングの車線トレース性は素晴らしかった。今、この領域の技術では、テスラとBMWが機能的に進んでいる。M235は2025年中に日本で市販されるが、セダンオワコンではないM235グランクーペの魅力を日本でも味わいたい。
