中国メディアの環球時報によると、香港メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポストはこのほど、「中国が人工知能(AI)エンターテインメント産業の育成に本腰を入れている理由」とする記事を掲載した。
記事は「中国のAIに関する野心は、国防や大規模言語モデル、半導体に関連するものとして報じられる傾向がある。
そして、中国の規制当局がこのほど、AIを活用した体験型コンテンツの導入などを通じて映画館のあり方を刷新するよう促す方針を発表したことに触れ、「同時に、中国のコンテンツ制作者の間でも、AIを活用したコンテンツの着想から制作、開発に至るプロセスを加速させる動きが広がっている」と紹介。「こうした一連の動きは、中国のエンタメ分野においてAIが大きく成長していくことを示唆している」とした。
記事によると、中国国家電影局と国家市場監督管理総局は、映画館に対し、単なる映画上映にとどまらない事業の多角化を促す指針を共同で発表した。具体的には、AIエージェントの導入を支援し、映画館を「トレンド感のある文化消費」の拠点へと転換することを目指すという。
記事は「AIを活用した多目的施設の構想は、当局が、一人ひとりのニーズに合わせた推薦の実現や多面的な商取引の促進を図るとともに、映画のエコシステムと結びついた没入型のエンタメ体験を創出することを目指していることを示唆している」と指摘。「この指針は、国内消費を通じて成長を促進するという国家戦略を浮き彫りにするもので、この観点から、エンタメ産業は、AIによって顧客エンゲージメント、消費支出、効率性を同時に向上させることができる新たな分野となるだろう」と伝えた。
記事によると、中国におけるAIショートドラマとAIアニメーションの市場は今年第1四半期(1~3月)に爆発的な成長を遂げた。ショート動画プラットフォームでは関連動画の再生回数が延べ1300億回近くに達し、うちAI俳優を起用したドラマだけでも延べ約750億回の再生回数を記録した。
記事は「こうした急成長は、制作の主軸がAI生成コンテンツへと移行する中、ゲーム会社や既存メディアの参入を可能にするとともに、小規模なクリエーターや個人スタジオも大手エンタメ企業と肩を並べて競争することを可能にしている」と伝えた。
記事によると、こうした動きは、中国がエンタメのバリューチェーンのあらゆる側面にAIを組み込む戦略を追求しつつ、規制上の「ガードレール」も導入しようとしていることを示唆している。
記事は「各国がAIの未来のあり方を巡って競争を繰り広げる中、中国のエンタメ産業は、AIが経済だけでなく人々による文化消費のあり方さえもいかに変革し得るかを示す、典型的な事例の一つとなるかもしれない」と伝えた。











