◇<1>ティム・ペイジ編、宮澤 淳一訳『グレン・グールド著作集』(みすず書房)
◇<2>石井 洋二郎『大学の使命を問う』(藤原書店)
◇<3>原 広司、吉見 俊哉『このとき、夜のはずれで、サイレンが鳴った』(岩波書店)
最初の二つは、本紙で取り上げる機会を失った作品、<3>は本紙でも紹介したが、内容もさることながら、個人的哀惜の情黙(もだ)し難く、敢(あ)えて再登場。
<1>は、ちょっと手が出し難いほどの大著、あのグールドが、これほどの健筆家であったとは、それだけで大きな驚きだった。
<2>は、今日大学を語らせたら第一人者の著者の、大学への愛と危機感に由来する好著。出版元のトップが、テーマに関して問答を挑む、著者がそれに応える、という珍しい形式。著者が大学の新入生に対して贈った愛情あふれるメッセージも採録。
『グレン・グールド著作集』(みすず書房)著者:グレン・グールドAmazon |honto |その他の書店
【書き手】
村上 陽一郎
1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。上智大学、東京大学先端科学技術研究センター、国際基督教大学、東京理科大学大学院、東洋英和女学院大学学長などを経て、豊田工業大学次世代文明研究センター長。著書に『科学者とは何か』『文明のなかの科学』『あらためて教養とは』『安全と安心の科学』ほか。訳書にシャルガフ『ヘラクレイトスの火』、ファイヤアーベント『知についての三つの対話』、フラー『知識人として生きる』など。編書に『伊東俊太郎著作集』『大森荘蔵著作集』など。
【初出メディア】
毎日新聞 2025年12月20日