水曜10時ドラマ「残念な夫。」(フジテレビ系)。榛野陽一(玉木宏)と知里(倉科カナ)は理想の夫婦だった。
陽一はカッコよくて優しく仕事もできて妻一筋の理想の「夫」。知里はかわいくて愛嬌たっぷりで家事ばっちり夫一筋の理想の「妻」。そんな2人のあいだに産まれた子ども・華。3人は理想の家族……となるはずだった。

「今やお前の身分は底辺に落ちた!」

子どもが産まれて「妻」から「母」になった知里。それに引き換え、陽一はなかなか「父」になることができない。
子どもが産まれた前と後で生活を変えようとしない陽一にやきもきする知里、知里の変化についていけない陽一。
「育児あるある」ドラマだ。

陽一を演じる玉木宏は、去年同じ水曜10時の「きょうは会社休みます。」(日本テレビ系)で「あ〜〜〜玉木宏と結婚したいんじゃ〜〜〜」と多くの女性に悲鳴をあげさせたイケメン。正直、玉木宏が「残念な夫」を演じられるのか? 「イケメンだし、ガマンしよ」となってしまうのではないか? と思っていた。
杞憂だった。
めっちゃむかつく! イケメンだろうが玉木宏だろうが、この夫、むかつく! お風呂シーンの乳首も、前クールだと嬉しかったはずなのに、なんだかむかついてしまう。


陽一は景気よく地雷を踏み抜いていく。
「手伝うよ」(←もともとお前の仕事でもあるんだよ!?)
「暇だったら見てみてよ」(←暇な時間があると思ってんのか!?)
「(華のオムツを嗅いで)ウンチだ! オシッコだったらな〜……任せた!」(←お前がやれよ!)
「(小遣い制を打診されて渋々了承したあとで)財務大臣、任せた! 総理大臣より」(←お前が一番偉いんかい!?)
イケメンでプラス100点、言動でマイナス5万点って感じだ。

とはいえ、家計を支えているのは陽一のほう。知里はそれをわかっているから、陽一になかなか不満をぶつけられない。その代わり、ママどうしの雑談や友達との電話でグチを漏らす。ママ友の細井美和子(大塚寧々)から「つらいときはつらいって言ってもいいよ」と言われて、知里は首を振る。

「つらくはないです。どの母親もしてることだし、子育ては楽しいし。つらいって言ったら華に悪いし……」
頭ではわかっている。いい妻でいたいし、いい母になりたい。でもイライラしてしまう。

1話では、そんな知里のモヤモヤが爆発した。
結婚記念日、「7時に帰るよ」と約束した陽一。けれどさまざまなアクシデントが重なって、9時を過ぎてしまった。陽一がくれた家の模型のプレゼントは、子どもとの関係を見ようとしないどこか見当はずれなもの……。
「結婚記念日に喧嘩なんかしたくない!」と叫ぶ知里。「つらい」「大変」とは言いたくない、夫にも事情や言い分があるのもわかっている。それでも怒りをぶつけるのをやめられない。

「どの母親も育児してるよ。育児って幸せだよ。でも、骨盤歪んで、歯欠けて、髪抜けて、免疫落ちながらやってんの! 出産て命がけ。一度死にかけてなんとか生き延びたようなものなの。なのに身体休めずにぶっ通しで徹夜仕事するようなものなの。そういうことに気づいてほしい。
それってワガママかな!?」

こういうドラマを見て「じゃあどうすればいいんだよ!? こっちだって仕事してるんだ!」と思う男性もいるだろう。もちろんそうだ。それがわかっているから、知里はギリギリまで不満を溜めこんでいた。
でもそこで子育てへの参加を諦めた結果が、ドラマ内では描かれている。家族の一員として数えられていないような「残念な父」。教育パパをこじらせて子どもと向き合えていない「残念な父」。
陽一はそれらのルートを回避して、「残念な夫」から「残念じゃない父」になることができるだろうか? この1クール、玉木宏の奮闘が描かれる。
奮闘するのは男だけではない。知里は陽一の目からみると急に変わってしまったように見えるが、必死の思いで「母」をやっているのだ。

2話で描かれたのは「初めての子守り」。いろいろ失敗しながらも、なんとか初ミッションをこなすことができた。そして今夜放送の3話では、どうやら陽一が教育にはっちゃけだす。まためんどくさいことになりそうだ。
ちなみに公式サイトには、「夫の残念エピソード」を視聴者から募集するコーナーがある。合わせて読んでみるとよりつらくなるのでオススメ。

(青柳美帆子)