
新型コロナ感染拡大の影響で、各テレビ局はドラマの撮影や番組の収録が行えず、過去の番組の再放送や再編集版、傑作選などが多く放送されている。
TBS日曜劇場で今年1〜3月にオンエアされた「テセウスの船」の再放送が昨晩よりスタートした。今回は一部地域では放送されていないものの、おじいさんの古い斧(@gfsoldaxe)が再放送に合わせてつぶやくTwitter連動企画も行われており、一度ドラマを観た人も、本放送を見逃した人も楽しめる内容となっている。
エキレビ!で掲載した、近藤正高氏によるレビューを再掲する(日付などは当時のまま掲載)。
原作の展開からかなり変更されている!どうなる令和編
もしも、未来から来たと自分の子孫を名乗る人物が訪ねてきたら、あなたはどうするだろうか。それも、自分がしくじったおかげで子孫が迷惑をこうむっているので、それを回避するためやって来たと言われたら……? きっと、誰だって気分を害して、怒るのではないだろうか。いや、それ以前に相手の言うことがまず信用できないはずだ。
真犯人に渡った大事なノート
50年前に連載が始まったあの国民的マンガの第1回でも、主人公の少年が、ある日いきなり、22世紀の未来から孫を名乗る同じ年格好の少年の来訪を受け、さんざんなことを言われる。いわく、大学受験に失敗したり、大卒後、就職できなくて自分で会社をつくったはいいが潰してしまい、借金を抱えたあげく、そもそもあなたの結婚した相手がよくないので、自分はそれを変えるために来たのだと。
もちろん少年は怒り狂うわけだが、その自称・孫の言うことを最終的に信じて受け入れる。相手が、自分の失敗を回避するためにさまざまなひみつ道具を持った猫型ロボットを一緒に連れてきたからだ。22世紀の圧倒的に進んだ技術を前にすれば、たしかに信じざるをえないだろう。
これに対し、31年後の2020年の未来から来たという男に、それまでにさんざん事件に巻き込こまれたあげく、じつはあなたはいずれ殺人犯となり、逮捕後に生まれたあなたの子供である私も含めて家族を奈落の底に突き落とすので、それを回避しようとしたのだが……と唐突に告白されたのが、先週2月2日放送の日曜劇場「テセウスの船」第3話での佐野文吾(鈴木亮平)である。