昨年6月3日に長嶋茂雄さん(享年89)が亡くなって、1年がたった。巨人軍元監督でオーナー付特別顧問の原辰徳氏(67)が2日、スポーツ報知に特別寄稿した。

指揮官として球団史上最多となる1291勝を誇り、9度のリーグV、3度の日本一に導いた名将は、長嶋さんがいなくなった1年間を「どこか雲がかかった景色だった」と回顧。生前のミスターに選手、コーチ、監督といずれの立場でも薫陶を受けた原氏は、難局を迎えている巨人に今こそ、長嶋さんが残した“全力魂”が必要と訴えた。

 球界を照らし続けてくれた太陽が沈み、1年がたつ。長嶋さんが亡くなってからの1年間はやはり、どこか雲がかかったような景色のように映った。折に触れて巨人にエールを、時には叱咤(しった)をくれていた。生前、すごく影響力のあった方だったが、亡くなられて一層、その存在感の大きさを誰しもが改めて知った、というところじゃないかな。

 ミスターは私にとっては神様みたいな存在だった。ヘッドコーチとして長嶋監督の後ろにいつも立ち、背中を誰よりも見続けてきた。その背中にはいろんな“表情”があった。勝つと揚々と躍動し、負けた時は何とも言えないさみしさがあった。悲しんでいる背中は見たくないって、強く思ったものだ。

 2004年に脳梗塞(こうそく)で倒れてからも21年間、リハビリに懸命に取り組まれていた。

その努力はよく人から聞いていたし、実際に目の当たりにもした。ミスターは生粋の負けず嫌い。自分にも、病にも負けてたまるかという一心だったはずだ。ある意味、今は解放されて、天国で大好きな野球を楽しんでおられるのかな。そうあってほしいね。

 とにかく勝負にこだわる方だった。野球人として多くのことを教わったが、一番の教えは「とにかくベストを尽くすんだ」ということ。亡くなられて一層、自分の心に深く刻んだよ。「すべてを出し切らないで、どうやって栄光をつかむんだ!」と。どういう状況においても決して諦めず、力の限りを尽くす。その姿は必ず人の心を動かすものだし、まさにアスリートの原点といえる。常にファンのことを第一に考える、ミスターらしい言葉だ。

 今、ジャイアンツは難局を迎えていると言わざるを得ない。それでも東京Dを連日埋め、応援してくれるこれだけのファンがいる。その声に応えるためには、プレーで魅せるしかない。その点において、今必要な信念こそ、ミスターがジャイアンツに残してくれた「常にベストを尽くす」という魂のはずだ。

 勝負に結果は付きもので、それは時に思うようなものが出ないこともあるだろう。ただ、その勝負に対し、すべてを注げたかどうか。まだ、何かできたのではないか。その自問自答の繰り返しが、選手にとって成長の近道となり、ファンの心を揺さぶる。ミスターから受け継いだ思いを胸に、前に進んでいってほしい。(巨人軍オーナー付特別顧問)

 ◆「FOR3VER 6.3~長嶋茂雄~」の概要

 ▼ユニホーム 巨人は左袖に「FOR3VER」のロゴワッペンが付いた特別仕様を着用。

 ▼試合前練習 限定デザインのプラクティスTシャツを着用。

 ▼場内ビジョン 試合前に長嶋さんの特別映像を放送。

試合中は「長嶋茂雄はなぜスーパースターなのか」という問いに対する、ゆかりの人の回答などを紹介。

 ▼場内コンコース サイネージで長嶋さんにまつわる展示なども行う予定。

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