ソフトバンク・王貞治球団会長(86)が、長嶋茂雄さんの一周忌に際してスポーツ報知の取材に応じ、思いを語った。ON砲として巨人を栄光のV9に導き、深い絆で結ばれた2人。

野球界発展への理念を受け継ぎ、「今後もずっと心の中で生きていってくれる」と願った。

 「長嶋茂雄さんは永久です」―。昨年11月21日、東京ドームで行われた「お別れの会」。王さんは祭壇を前に、そう言葉をかけた。一周忌を迎えても、刻みつけられた記憶が薄れることはない。

 「野球に関心がある人はもちろん、ない人も長嶋さんの存在は特別なものだった。旅立たれたことは本当にショックだったけれど、皆さんの気持ちの中に長嶋さんが生きていると感じているのでね。大変ありがたい」

 1958年に長嶋さんが立大から巨人に入団。1年遅れて王さんが早実からプロ入りした。59年6月、天覧試合での初めてのアベックアーチから、ONという2つの巨星が並び立つ輝かしい歴史が始まった。65年から73年まで、空前絶後の日本シリーズ9連覇。天性の明るさと繊細さを併せ持つ長嶋さん、職人肌でありながら豪快な王さん。

「存在感ではかなわないので、僕はホームランを追いかけた」と王さんは述懐したことがある。対照的な2人がしのぎを削り、巨人のみならず日本プロ野球の黄金期を築き上げた。

 長嶋さんが永遠の眠りにつくのと重なるかのように、昨年5月23日、王会長が代表となって一般財団法人「球心会」が設立された。その理念の核にあるのは、長嶋さん、王さん、あるいは大谷翔平のような「子どもたちに夢と希望を与える世界的ヒーロー」を生み出していくこと。生前のミスターからも「私にできることがあれば大いに協力したい」とメッセージを託されていた。残された思いも胸に、普及活動に飛び回る毎日だ。

 今季から創設された「長嶋茂雄賞」でも5人の選考委員に名を連ねた。年始はインフルエンザで体調を崩したが、2月のキャンプから復調。球場を訪れ、時には身ぶり手ぶりを交え、精力的に選手を激励する。そんな王さんの姿を、長嶋さんもきっと見守っていることだろう。

 「選手として優秀かどうかではなく、長嶋さんは皆さんの生活の中に入っていましたから。長嶋さんが今後もずっと心の中で生きていってくれるのは、野球界にとっても大事なこと」

 余人には計り知れない絆(きずな)で結ばれた2人。

王さんのひとこと、ひとことは、心の中のミスターに語りかけるようだった。(森口 登生)

 〇…ソフトバンク・王球団会長が、長嶋さんの一周忌に球団を通じてコメントを発表した。25年10月には、野球界でミスター以来、2人目の文化勲章を受章。ともにプロ野球の発展に貢献してきた。「長嶋さんが旅立って一年、野球界にとってどれほど特別な存在であったか、ますますその思いが強くなります。これからも日本野球界を見守り続けていただきたいと思います」と言葉を寄せた。

 ◇長嶋茂雄賞 長嶋さんの功績をたたえ、今季から創設。12球団に所属する野手を対象に、走攻守の成績はもちろん、ファンへのアピール度なども加味して受賞者を選定する。選考委員は王貞治氏、元広島監督の山本浩二氏、元阪神監督の岡田彰布氏、元日本ハム監督の栗山英樹氏、前西武監督の松井稼頭央氏。

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