12月10日に『大人の超ネットマナー講座』(ダイヤモンド社)が発売された。著者は石原壮一郎。大人とはなにかということをテーマに文章を書き続けている。著書に『大人養成講座』(扶桑社)『大人力検定』(文春文庫PLUS)などがある。通称「大人力」のひとだ。
ふむふむ、1963年生まれなのか。どんなことを書いているのかな。俺よりも24歳も上のひとの本を、「ネット関係は俺に任せな!」くらいの勢いで読んでいった。
『大人の超ネットマナー講座』はダイヤモンド・オンラインで連載されていた「大人のネットマナー教室」をまとめたものだ。
ツイッターやミクシィ、ブログなどネット上でのコミュニケーションの取り方が中心に書かれている。
連載と違って注訳がたくさんあって読み応えがある。
注訳によると〈ツイ飲みにおいては、実際に顔を合わせておいて本名を名乗ろうとしないのは、重大なマナー違反。いきなり名刺交換までするかどうかはケース・バイ・ケースですが、名前はあっさり名乗りましょう〉と書いたときにはネットのあちこちから「なんで本名名乗らなくちゃいけないんだ!」「名乗る意味がわからない!」と叩かれてしまったそう(第5章)。
俺のタイムラインでもこの文章に反応している人が多かったです。
とりあえず、20歳以上も年上の人がツイッターに対してすごく熱くなって語っているのを見ると安心する。俺が40代になったときにも同じようにネットに熱くなれるだろう。
本の構成は5章にわかれている。
第1章:ツイッター初級編
ツイッターを始めたばかりの人向け。つぶやきのマナーについて。
第2章:ツイッター実践編
大人なコメントや社交辞令の使い方とは?
第3章:ブログ&ミクシィ編
日記やブログへはこうコメントしろ!
第4章:メール編
「できる」と思わせる技ありメールマナーで好感度アップ!
第5章:オフライン編
リアルで会っても好印象なネットマナーを学べ!
特に「第5章オフライン編」のツイッター上で知り合った人とのオフ会、ツイ飲みの項目が気になった。〈ツイ飲みにおいては、あっちこっちで何人もが「実況」を始めるという光景になりがち。自分も負けじと始めたくなりますが、ここはグッとこらえるのが周囲に一目置かれる近道。(略)ツイッターに溺れていない大人の冷静さや、みんなを温かく見守っている大人の貫禄など、いろんなものをアピールできそうです〉とある。
飲み会イコール実況と考えていた俺には目からウロコだった。
むやみやたらに現在の状況をツイートしない、おしゃべりしないほうが冷静で大人としての信頼感をバッチリアピールできるのか!
でもこれって、みんなツイッターをやっているけど「ツイッターがきっかけの飲み会ではない」ときの方法では? と少し思う。
「ツイッター上で出会って、そこから飲み会に発展」した場合、リアルでのノリも重要だけど、ツイッター上でのノリの良さも大切になってくる気がするのだ。
「乾杯~!」
「飲み会なう!」
「鳥の軟骨きたー!」
「ちょ、まだ写真撮ってないんだから食うなよ!」
と、写真付きツイートをする中で、ひとりだけ黙々とおつまみを食べている。
そのときは飲み会のテンションで周りも誰も気づかないかもしれないけど、後日飲み会メンバーのツイートをさかのぼってみていると「あれ、この人だけ何もツイートしていない。つまらなかったのかな」と考えてしまう可能性もあるんじゃないだろうか。あ、俺は思っちゃうんです。
もちろん、ツイッターなんて一切触れずにその場でのおしゃべりを大事にするほうが大人かなと思う。〈自分も負けじと始めたくなりますが、ここはグッとこらえる〉とあったけど、我慢せずに周囲に合わせるのもまた大人のたしなみなのではないだろうか?
じつは、日経ビジネスカレッジの連載で石原さんにインタビューをしたことがある。
ゆとり世代のライターがさまざまな業界の先輩に話を聞きに行くという企画だ。フリーライターについてや、ツイッターを軸にしたネットマナーについての話が中心だった。
〈石原 僕はネットの匿名性が大嫌いなんです。
匿名やハンドルネーム文化がしっくりこなくて、石原さんはオフ会では絶対に本名を名乗ることを心がけているようだ。
俺も「レイズナ」というハンドルネームですよ、と言ったところ、これはペンネームで人前に出て仕事をしているので匿名ではないんじゃないかなと言われた。
長いこと話したけど、結局ふたりとも納得が行かないままインタビューが終わり、いっしょに焼肉に行って楽しくなっちゃってそのままだ。(詳しくはインタビューを読んで欲しい)
もうひとつびっくりしたことがある。「大人の超ネットマナー講座」を読み進めていくと、〈「成増飲み会やります」「30歳の会をやりましょう」などと地域や年齢を限定してツイッター上で募集し、知らない同士が集まるケースも増えています。〉とあった。
ひえー、オフ会や飲み会は、ツイッター上で絡んだことのある人、趣味が同じな人同士でしかやらないだろうと思っていたらそんなことはなかった! まったく知らない人と飲むパターンもあるのかー。
俺は人見知りだから、知らない人と話すとカチコチに固まってしまう。なので、知らない人たちと飲もう、という考えがまずないんだよなあ。交流を深めるために率先して飲み会に行く。
そのような飲み会では、場に安心感を提供してくれる大人(大人力のある人)の存在はとてもありがたい。なにぶん相手は知らない人たちなので、ノリに付いていいけない場合もあるからだ。どっしり構えていてくれる人に頼りまくってしまうよ。
「ネットは俺に任せな!」なんて言っておいて、ネットから1歩出たらまだまだヒヨっ子だった。思えばオフ会も趣味の集まりでしか行ったことないしなあ。
リアルでもネットでも、まだまだ大人に学ぶことは多いと痛感した今回。自分でアレコレ考えるより、大人に直接聞いたほうがいいだろう、これは! ということで。
石原さんにさんにもう一度、直接あれこれ聞いてみたい!
で、そのインタビューの打ち合わせをネット上でしようとしたら、なんと石原さんはスカイプを導入していない!
やはり、大人にネットは任せておけないのではないか? はあ、これはスカイプについて一から教えることからはじまりそうだ……。
というわけで、石原さんインタビューに続く!(加藤レイズナ)