◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
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◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
第17週「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」100話(7月25日・木 放送 演出・渡辺哲也)視聴記録
「ありきたりな新劇」
「なつぞら」もついに100回。3分の2が終わった。あと56回。
昭和38年、秋。雪次郎(山田裕貴)の「かもめ」を見たなつ(広瀬すず)のけろっとした「すごかった」は……作品の内容からしても、なつがこれまで何かと涙ぐみがちなところかしても、もうちょっと心震わせてほしかったようにも思うが、終演後すぐ楽屋で感想を言うことはとっても難しいものだから、なんとも言えない。
広瀬すずはものごとに素直に反応し、その反応が魅力的な俳優なので、その場で実際見てないお芝居の感想に嘘をつけないのかも。それはそれで正直でよし。もっとも、観劇のあとで坂場(中川大志)が風車で飲みながら「昔の人から教えられたようなありきたりな新劇」と言うからそれほどのものではなかったという設定かもしれない。
余談ではあるが、某映画監督は、これから演技するシーンの前の状況と感情を身振り手振りを交えて俳優の前で熱演してから「よーいスタート!」とカメラを回し、俳優は監督のその熱に反応していい表情をしたりする。
坂場は、チェーホフは古典だが、それでも新しいものを生み出すことの必要性を説き、「ただ蘭子さんの芝居を見せるためだけに見えた」と手厳しく批評する。
雪次郎をむっとさせた坂場を、なつが注意すると、素直に反省する坂場。なつと坂場はまるで夫婦のように、なかなかいい関係性だが、なつは「仕事仲間です」と言い張る。素直じゃない感じのなつの背中を雪次郎が小さく叩く。咲太郎は天ぷらを焦がす。
なつが坂場との関係を否定するのは、坂場の気持ちがはっきりしないことによる不安とか不満からのようだ。切ない〜。でもこの切なさは、昔、天陽くんがなつに感じていたことのようにも思う。なつは天陽くんを大事そうにも見せつつ東京と夢を選んでしまって天陽くんを寂しくさせた過去がある。今回のことはいわゆるブーメランってやつであろうか。
雪次郎は「もっと人に甘えたらいい」「好きなら好きと言えばいい」となつにアドバイス。今度はなつの肩に腕を乗せ雪次郎、幼馴染感が出てる。
なつが何かとぶっきらぼうなのは甘え下手ということなのか。明快なキャラが多い朝ドラヒロインにしては、なつはわかりづらいキャラクターだなあと思う。時々、ぐじぐじしたヒロインが出現するのも朝ドラで、貫地谷しほりが「ちりとてちん」で演じたヒロインもぐじぐじしていたし、「あまちゃん」もわりとぐじぐじしていたけれど、とりわけなつはかなり複雑な子に見える。そこが魅力。
雪次郎が蘭子の家に!
「かもめ」の千秋楽、打ち上げが終わったら、ふたりだけでお祝いしましょうと蘭子(鈴木杏樹)が雪次郎を自宅に招く。
雪次郎、大女優の毒牙にかかるのでは……。でも雪次郎は蘭子にあこがれているからやった!って感じなのか。ケーキをもって訊ねると、ワインをついでくれる蘭子。オトナの世界が漂う〜。
雪次郎はなつに「好きなら好きといえばいい」と言ったくらいなので、蘭子に「好きです」と告白。
「勘違いさせちゃったかしら」「そういう覚悟をしてここにきたわけ?」と聞く蘭子。
そういう覚悟ってどういう覚悟??? 101回目が気になる!
ところで、風車の壁の東洋動画のポスターコレクションに「真田十勇士」があるのは、「なつぞら」には「真田丸」スタッフ、俳優が多いからか。モチーフになっている東映動画には「少年猿飛佐助」(59年)がある。
【第17週あらすじ】「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」7月22日・月〜28日・土
1963年、なつ(広瀬すず)は優秀な女性アニメーターとして注目されていた。その実力を買われ、坂場(中川大志)と一緒に新設されたテレビ班に行くように仲(井浦新)から命じられる。
102回あらすじ 7月27日・土 放送


なつ(広瀬すず)たちの作ったテレビ漫画「百獣の王子サム」の放送が始まった。十勝の柴田家では富士子(松嶋菜々子)や剛男(藤木直人)、そして泰樹(草刈正雄)も、なつの活躍を喜んでいる。東洋動画のテレビ班では、演出の坂場(中川大志)と制作進行が言い争いが増す。その間で、なつも新しいアイデアを出し、作品づくりの中核を担うようになる。その頃、帯広の雪月に、大きなカバンを抱えた雪次郎(山田裕貴)が現れて…。

{木俣冬)
登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。
2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。
4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。
5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。
8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。
9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。
10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。
13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。
倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。
14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。
19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。
21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。
27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。
28回
島貫健太 岩谷健司
ローズマリー エリザベス・マリー…浅草の踊り子
30回
藤田正士 辻萬長 親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。
31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター
37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。
44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長
45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優
49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター
55回
森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。
58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長
66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海
脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美 舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション
制作統括:磯智明 福岡利武