嘘の下手な四宮
黒澤杯卓球大会から振り返っていきたい。卓球を利用して渦中の人物の全てを聞き出そうという、嫉妬に駆られた黒澤武蔵(吉田鋼太郎)の作戦である。

武蔵をはじめとし、各人物は心中を晒していく。特に抑えの効かなくなった武蔵は自発的だ。問題は、バースデーパーティの主役・四宮要(戸次重幸)である。気持ちを隠そうとする彼なのに、自分の意に反して春田創一(田中圭)への想いを明かされ、苦しむ姿が切ない。本人は「今のままでいい」と言っていたから尚更だ。ただ、ヒートアップした武蔵が勢いに任せてばらした(アウティング)のではなく、成瀬竜(千葉雄大)の口から明かされたのはまだ救いがあった。彼は彼で四宮を見ていられなかったのだろう。こうして、鈍感な春田も四宮の本心にようやく気付いた。
春田 「俺なんかの、どこが……いいの?」
四宮 「ハハッ、バーカ。誰がお前なんか。あいつの冗談に決まってんだろ」
切なすぎる会話。「俺なんかのどこがいい?」は、明らかに恋心を抱いていない相手へ向けて放つ疑問だから。春田は四宮に特別な感情がない。一方、「誰がお前なんか」と人を貶める四宮の返答は、あまりに彼らしくない。四宮が本心を言っていないこと、嘘をついていることがバレバレになってしまっている。料理、デッサン、ピアノ、仕事と何でもソツなくこなす四宮なのに、恋愛だけが不器用すぎる。