
怖おもしろさにハマりそう『先生を消す方程式。』
『先生を消す方程式。』(テレビ朝日系 / 毎週土曜よる11時〜)はなかなか“怖おもしろい”ドラマだった。30分間の短い時間のなかで、予想をポンポンひっくり返していって、他局だが『3年A組―今から皆さんは、人質です―』と『あなたの番です』(ともに日本テレビ)を混ぜたような、社会派でサスペンスでどんでん返しのミステリーなドラマであった。ドラマが好きな人が反応しそうなオマージュがいっぱい。「人生にはまさかがある」は『カルテット』、「土下座」は『半沢直樹』、「嫌いじゃないです」は『美食探偵明智五郎』の「悪くない」にすこし似ている……等々。古いところで『まいっちんぐマチコ先生』とか。
昨今のパワハラは教師から生徒ではなく、生徒が教師に行っていることもある。義経こと義澤経男(田中圭)が赴任してきた私立・帝千学園の3年D組には、F4(『花男』ね)ならぬ4Cと呼ばれる4人の強烈な生徒たちがいた。
学園一の優等生・藤原刀矢(高橋文哉)、人気インフルエンサー・長井弓(久保田紗友)、義経も食べている餃子チェーン店の社長の娘・大木薙(森田想)、父は大手ゼネコンの社長、叔父が政治家の剣力(高橋侃)と、高スペックを笠に着てやりたい放題。学園の頂点に君臨している4人のうち、刀矢以外の3人はさっそく義経にハラスメントをはじめる。とくに剣が顕著。
義経は「日々笑っていれば幸運はついてきます」と“日常×笑顔=幸運”という方程式に基づいて、常に「嫌いじゃないです」とニコニコ微笑み、なにがあってもへこたれない。それがよけいにF4を苛立たせ、剣は義経にイチャモンをつけて、土下座+床舐めを強要。義経はどちらも素直に受け入れる。
だが義経もやられっぱなしじゃいられない。その様子を撮影していて、“パワハラ=権力×精神的暴力×弱者”という方程式を掲げ、未成年のことも訴えることはできるのだと逆襲する。