2026年5月31日、シンガポールメディアの聯合早報は、中国の地方官僚が自身の出世のために検証不足の巨大観光プロジェクトを強行し、各地で深刻な債務や廃墟化が相次いでいると報じた。
記事は、四川省大英県で14年に着工した投資予定額10億元(約235億円)規模の実物大復元タイタニック号が、資金難により船体が錆びついた未完の状態で放置されている実態を紹介した。
また、貴州省独山県でも16年に2億元(約47億円)を投じて少数民族の伝統様式を模した世界最大級の楼閣建築「天下一の水司楼」の建設を開始したものの、やはり資金問題により工事がストップしたと指摘。中国共産党中央紀律検査委員会が当時の同県党委員会書記だった潘志立(パン・ジーリー)氏が実績作りのために借金をしてプロジェクトを進めていたと公表し、潘氏が公職を剥奪された際、独山県の債務は400億元(約9400億円)以上に達していたと紹介した。
さらに、総工費約24億元(約564億円)を投じて建設された湖南省張家界の大庸古城(歴史観光施設)が、4年間のプレオープン期間で累計10億元(約235億円)以上の赤字を出したことにも言及。運営会社の会長が、他人の成功例に盲従した「流行への便乗」が失敗の原因だと述べたことを伝えた。
その上で、中国にある約2万7000社の古鎮関連観光企業のうち、約4割が清算や操業停止などの異常な状態にあり、多くの模倣観光地がゴーストタウン化していると紹介。16年ごろに各地で起きた「観光の町」ブームにおいて、地方政府が土地売却による財政収入確保を狙って不動産開発業者と組む流れができたものの、政府と業者どちらの要求も満たされない結果に終わることが多かったと解説した。
記事によると、北京師範大学政府管理研究院の唐任伍(タン・レンウー)教授は、官僚が自らの任期中の実績を際立たせることばかりを考え、プロジェクトの効果や価値を十分に検証していないことが問題の根源だと論じ、台湾開南大学人文社会学院の張執中(ジャン・ジージュン)教授も「中央政府が正しい政績観を求めても、地方幹部の評価指標が変わらなければ、目に見える実績としての建設プロジェクトに固執する体質は変わりにくい」と分析した。(編集・翻訳/川尻)











