FIFAワールドカップ2026本番前最後の国際親善試合となるアイスランド戦が31日(日)19時25分~、国立競技場で行われる。

 森保一監督は前キャプテン・吉田麻也と現キャプテン・遠藤航の先発起用を明言。
序盤10分間は日本代表通算127試合目を迎える37歳・吉田の長年にわたる貢献を労う意味合いが強くなりそうだが、本番を視野に入れたテストも積極的に行っていく構えだ。2026年に入ってから日本代表活動に参加していない遠藤、板倉滉、冨安健洋のコンディション、所属クラブで出番が少なかった小川航基らの状態をチェックするのは一つの重要テーマではないか。そして南野拓実、三笘薫という絶対的キーマンを欠いた左シャドーをどうするか。そこも注目度の高い部分だ。左シャドーは今大会に臨む日本代表の命運を左右する大きなポイントになると言っても過言ではない。

 一つの解決策は本職である鈴木唯人を起用することだ。だが、ご存じの通り鈴木は右鎖骨骨折から回復途上の真っ只中。アイスランド戦に関しては、所属のフライブルクから出場NGが出ている模様で、この一戦は欠場ということになるはずだ。となると、別の選手を起用するしかない。森保監督は前日会見で「明日の試合に関しては(伊東)純也をそのポジションで使っていきたいなと思っています」と明言。「(3月の)イングランド戦では右シャドーでやってくれましたけど、そこにはタケ(久保建英)も戻ってきてくれましたし、コンビネーションの確認という部分では、今のところ純也を考えています」と力を込めたのだ。

 当の本人も覚悟ができている様子だ。
「やったことがあるポジションですし、左シャドーだけじゃなくて(攻撃の)全部のポジションで考えていると言われたので、どこで出てもいい準備をしたいなと思っています」と涼しい顔でコメント。左右のウイングバック、両シャドーと2列目ならどこでもやれる確固たる自信があるのだろう。

「仮に左ウイングバックだったとしても、ちょっと景色は変わりますけど、今季はチームで左ウイングバック的な役割を結構やっていたので初めてではない。イメージはできますね。左シャドーはこれまで何回もやったことがありますし、別に左と右が変わったくらいなら特に変わらない。むしろ左の方がよりシュートを打てるかなという気がします」と33歳のスピードスターはどこまでもポジティブだ。

 まさに“究極のマルチプレーヤー”。どういう使い方をしても高いレベルで仕事をしてくれる伊東の存在は、日本代表攻撃陣の安心感を高めてくれている。森保監督自身も「純也がいてくれて本当に助かった」というのが本音ではないか。実際、伊東が左シャドーに入れば、持ち前のスピードと局面打開力で数多くのチャンスをクリエイトできる。右に久保が入った場合は、精度の高いラストパスの供給が期待できるだけに、伊東がフィニッシャーとしてゴールに絡む回数も増えそうだ。

 アイスランド戦で中村が左ウイングバックに陣取る場合には、伊東と中村が臨機応変に立ち位置を入れ替えながら効果的な攻めを繰り出せる。
その関係性は3月のイングランド戦の三笘・中村に近いものがある。むしろ伊東と中村はスタッド・ランスで2シーズン共闘している分、より阿吽の呼吸でプレーできるのではないか。そこは非常に心強い要素である。

「敬斗とは長年やっていましたし、プレースタイルも分かってます。どういう感じで動くのかなというのも理解しているので、やりやすいですね」と伊東も前向きに言う。背番号14を中心としたスムーズな連携が確立できれば、南野・三笘不在のマイナス影響も最小限にとどめられるはず。まずはそのメドをしっかりと立てたい。

 そのうえで、左シャドーに中村、前田大然、後藤啓介、塩貝健人らが入るという異なるオプションを作っていければ、本大会突入後も多彩なバリエーションで戦えるようになる。残された準備時間は少ないが、アイスランド戦の90分間を最大限有効活用したいところ。いずれにしても、伊東は左シャドーのみならず、攻撃のあらゆるポジションで暴れ回ることが強く求められているのだ。

「W杯もどのくらい出るか分からないですけど、全部出るつもり。個人的にはいつでも行けると思っているので、どこでチャンスが来ても、しっかり自分のプレーをやりたいなと思います」。
33歳という年齢を感じさせないほどの活力に満ち溢れている伊東。本当にこのスピードスターは頼りになる男だ。その底力をまずはアイスランド戦で見せつけてくれれば理想的。集大成となる大舞台に向け、背番号14は着実にパフォーマンスを引き上げて、日本を勝たせる仕事をしてくれるに違いない。

取材・文=元川悦子


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