◆第21回ヴィクトリアマイル・G1(5月17日、東京競馬場・芝1600メートル、良)

 第21回ヴィクトリアマイルが17日、東京競馬場で行われ、昨年の牝馬2冠馬エンブロイダリーが直線で抜け出すと、ライバルたちを一蹴(いっしゅう)し、断然人気に応えてG13勝目を挙げた。当レース連覇で歴代最多を更新する5勝目となったクリストフ・ルメール騎手(46)=栗東・フリー=は、JRAのG1・60勝目で、海外G1と合わせて「100勝できてよかった」と喜んだ。

JRA・G1の1番人気馬は今春の高松宮記念から最多タイとなる7連勝となった。

 夏を思わせる暑い府中のゴール前を涼しい顔で突き抜けて真のマイル女王を証明した。単勝1・9倍とファンの熱い支持を受けた昨年の牝馬2冠馬エンブロイダリーは好スタートを決め、絶好の6番手を追走。しびれる手応えで迎えた最後の直線では、坂を上る際にはルメールの手綱はピクリとも動かず。「自分で加速してギアを上げていってくれました」と徐々にスピードアップ。後ろからカムニャックが忍び寄ったが、「坂を上ってから勝てると思いました」と残り50メートル手前で勝利を確信。1馬身1/4差の完璧な勝利で3つ目のG1タイトルを手にした。

 「G1で負けていたから、1番人気の馬で100勝できて良かった」。ようやく手が届いたメモリアルVに安堵(あんど)の言葉が口を突いた。99年にフランスでデビューした名手はこれが02年からの短期免許時代を含めてJRAのG1・60勝目。JRAに所属する2015年以前には海外で38勝を挙げており、これにJRA騎手として勝利したドバイでの19年のターフ(アーモンドアイ)、23年のシーマクラシック(イクイノックス)を加え、区切りのG1・100勝目。自身でも「カウントアップしていた」と、節目の勝利へふつふつと闘志を燃やし、今年のフェブラリーSから「あと3つ」と大いに意識。

それをきっちりコスタノヴァで仕留めると、高松宮記念のサトノレーヴで王手をかけていた。

 管理する森一調教師は「非常に暑かったのでそこだけ注意しながら」と、繊細な牝馬だけに細心の注意を払い、それに見事に応えたまな娘に胸を張った。今後について、シルクレーシング・米本昌史代表は、優先出走権を獲得したBCフィリー&メアターフ・米G1(10月31日、キーンランド競馬場・芝2200メートル)も「選択肢のひとつとして検討していきたい」と話した。他に暮れの香港遠征なども視野に入ってくる。トレーナーが「完成の域というのに加え、精神面の成長が大きい」と認める逃げ差し自在なアドマイヤマーズ産駒ならどんな舞台でも恐れることはない。(石行 佑介)

 ◆ルメールのG1・100勝 ルメール騎手は2015年にJRA通年騎手免許を取得し、短期免許時代の5勝を含めてJRAのG1・60勝目。これには、18年の京都開催だったJBCスプリント・Jpn1(グレイスフルリープ)が含まれている。海外メディアによると、JRA移籍以前にフランス24勝、英国9勝、米国2勝、UAE1勝、豪州1勝、香港1勝で海外G1計38勝を記録。ドバイ・ターフのアーモンドアイ、シーマクラシックのイクイノックスを合わせると、合計G1は100勝となる計算だ。

 ◆JRA・G1での1番人気馬の最多タイ連勝 エンブロイダリーがヴィクトリアマイルを勝ったことで、今春の高松宮記念から続く1番人気の連勝が7まで伸びた。これは1984年のグレード制導入以降、85~86年の年またぎ(菊花賞桜花賞)と、2020年(スプリンターズS~ジャパンC)に続く3度目の実施機会最多連勝タイ記録(障害G1は含まず)となった。

 ◆エンブロイダリー 父アドマイヤマーズ、母ロッテンマイヤー(父クロフネ)。

美浦・森一誠厩舎所属の牝4歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算11戦7勝(うち海外1戦0勝)。総獲得賞金は5億4781万1000円。主な勝ち鞍は25年桜花賞、秋華賞・G1、クイーンC・G3、26年阪神牝馬S・G2。馬主は(有)シルクレーシング。

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