それでも、想定外のドラマが生まれるのがW杯で、今回もさまざまな話題が提供されるはずだ。初出場のキュラソー、カーボベルデ、ウズベキスタン、ヨルダンは初得点、初勝利をあげられるのか。ホスト国カナダも過去2回W杯に出ているが、まだ勝利がない。北中米W杯ではどんな新しい歴史が刻まれるのか。最後にW杯を掲げるのはどの国になるのか。また、新たなスターが誕生するかもしれない。
総試合数が104に爆増 選手には過酷な大会になる
日本代表が2試合を戦うダラス・スタジアム(AT&Tスタジアム) Photo/Getty Images
総試合数が104に爆増 選手には過酷な大会になる
北中米W杯は3カ国で共催されるが、アメリカ(11都市)、カナダ(2都市)、メキシコ(3都市)となっており、ほぼアメリカが会場となっている。開幕戦が1986年メキシコW杯のメイン会場だったエスタディオ・アステカ(メキシコシティ)、決勝戦はニューヨーク/ニュージャージー・スタジアム(ニューヨーク)での開催となる。どちらも8万人超えのスタジアムで、圧巻の光景が見られるのは間違いない。
出場国の増加を受けて、総試合数が爆増している。
もうひとつ大きく変わったのが、グループリーグから勝ち上がるチームの数だろう。これまでは4カ国が入ったグループのなかから、上位2チームが決勝トーナメントに進出していた。今大会は各グループの上位2カ国+3位のなかから成績上位の8チーム=32チームが勝ち上がる。
これは世代別代表のW杯などで採用されている方式だが、グループリーグの最後が終わるまで3位での勝ち抜けチームが決まらない傾向がある。3位はだいたい勝ち点4、3で並び、あとは以下のような順番で決めていくことになる。①勝ち点、②得失点差、③得点数、④フェアプレーポイント、⑤最新のFIFAランキング。最後にFIFAランキングとあり、これだと下のチームが波乱を起こすチャンスを消しているが、そこまでもつれることはほぼないということだろう。
ややこしいのはこの先で、どのグループからラウンド32に進む3位チームが出るかで決勝トーナメントの組合せが決まる。対戦カードの欄に「1E×3ABCDF」「1A×3CEFHI」などとあるのはそのためで、FIFA監修の大会規則によれば495通りの組合せがあるという。
ちなみに、日本が入ったグループFは1位通過ならC2位、2位通過ならC1位と対戦する。
アルゼンチン、フランスを軸にスペインなどが優勝を争う
メッシは3月のザンビア戦に出場。1得点で健在をアピールした Photo/Getty Images
試合数の増加、優勝まで8試合という過酷さを考えると、選手層が厚いチームが有利だと考えられる。メンバーを固定して戦い抜くのは不可能で、ベスト8やベスト4に進むのは地力のあるチームになるか。前回カタール大会を制したアルゼンチン代表、決勝で涙を呑んだフランス代表は良質な選手を多く抱えていて選手層が分厚く、今大会も優勝候補にあげられる。
アルゼンチンは38歳になったメッシが健在。インテル・マイアミで相変わらずゴールにからむ仕事をしている。フリアン・アルバレス(アトレティコ・マドリード)、エンソ・フェルナンデス(チェルシー)、アレクシス・マクアリスター(リヴァプール)といった前回若武者だった選手たちが成長し、南米予選では圧倒的な力をみせた。W杯連覇は1958年スウェーデン大会、1962年チリ大会を制したブラジル代表まで遡らなければならないが、新しい歴史が刻まれるかもしれない。
4年前のお返しをしたいフランスの選手層は、アルゼンチンを上回るかもしれない。キリアン・ムバッペ(レアル・マドリード)は27歳で3度目のW杯を迎える。過去2大会は優勝、準優勝であり、決勝進出を逃したことがない“勝つ方法”を知っている絶対的なストライカーだ。ここに昨年のバロンドールであるウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン)、右サイドを涼しい顔で切り崩すマイケル・オリーセ(バイエルン)などがいて、他にも質の高い選手がゴロゴロといる。
EURO2024の決勝を戦ったスペイン代表、イングランド代表もタレントが多い。スペインのラミン・ヤマル(バルセロナ)のボール運び、ドリブルはキレとスピードがあるだけではなく、なぜかDFの逆を突く。フェラン・トーレス(バルセロナ)、ダニ・オルモ(バルセロナ)など、普段から一緒にプレイする選手が代表に多いのも好材料だ。ヤマルは大会中に19歳を迎える若さながら、すでに多くのタイトルを獲得している。早々とW杯トロフィーも掲げるかもしれない。
イングランドも優勝候補にあげられる。4月の強化試合では日本代表に0-1で敗れたが、絶対的エースのハリー・ケイン(バイエルン)、中盤で攻守を引き締めるデクラン・ライス(アーセナル)、推進力があるジュード・ベリンガム(レアル・マドリード)らがいなかった。これらの選手がいないときは苦戦することがわかったが、EURO2024の準優勝チームであり、欧州予選を8戦全勝22得点無失点で通過している。北中米W杯では本来の姿をみせてくれるはずだ。
ハーランドは得点王を狙える 上田にもチャンスがあるか
イングランド戦でボールキープする上田。
得点王争いに目を向けると、前回カタール大会はムバッペが8得点でゴールデンブーツに輝いている。今大会は出場国が増え、グループリーグで実力差のあるチーム同士の対戦も行われる。1994年アメリカW杯ではオレグ・サレンコ(ロシア)が1試合5得点の偉業を達成し、合計6得点で得点王になっている。今大会も1試合で“固め打ち”というケースがあるかもしれない。
2大会連続の得点王を狙うムバッペ。屈強な身体を持ち、多数の得点パターンがあるアーリング・ハーランド(ノルウェー代表/マンチェスター・シティ)。フィニッシュの精度が高く、ボールが集まってくるケイン。年齢を重ねてより研ぎ澄まされてきた感があるメッシと、まだまだ衰えを知らないポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル代表/アル・ナスル)。いずれも固め打ちできる決定力があり、有力な得点王候補となる。
日本の上田綺世(フェイエノールト)もシーズン終盤を迎えて調子を上げており、良い状態で大会を迎えられる。固め打ちできそうな相手との対戦はないが、勝ち上がれば試合数は増え、得点するチャンスも増える。過去、日本人選手がひとつのW杯で奪った最高得点は本田圭佑、堂安律の2得点だ。
今大会がおそらく最後のW杯になる選手たちにも注目だ。メッシ、C・ロナウド、ルカ・モドリッチ(クロアチア代表/ミラン)、ソン・フンミン(韓国代表/ロサンゼルスFC)、エディン・ジェコ(ボスニア・ヘルツェゴビナ代表/シャルケ)。さらには、ケビン・デ・ブライネ(ベルギー代表/ナポリ)、フィルジル・ファン・ダイク(オランダ代表/リヴァプール)、モハメド・サラー(エジプト代表/リヴァプール)なども最後のW杯になるかもしれない。
若い選手のイキの良いパフォーマンスとともに、こうした経験豊富な選手たちのいぶし銀のプレイも目に焼き付けたいところだ。
文/飯塚 健司
※電子マガジンtheWORLD317号、5月15日配信の記事より転載

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