中国で高速鉄道網の整備が進み、自家用車が普及する中、忘れられた存在になっていた長距離バスが復活しつつある、と中国メディアが伝えた。都市間通勤、通院、通学といった利用頻度の高い移動を支え、幹線交通を補完する「毛細血管」の役割に新たな活路を見いだしたためだ。

中国通信社(CNS)によると、長距離バスに最も大きな打撃を与えたのは高速鉄道だった。例えば四川省成都~重慶路線では2015年に成渝高速鉄道が開業すると、長距離バスの利用者数は急減した。これは中国全体の道路旅客輸送を象徴する出来事でもあった。時速300キロという速さと定時性、快適性を備えた高速鉄道は長距離バスを一気に苦境へ追い込んだ。

しかし、より根本的な要因は長距離バスの運行モデルが硬直化していたことにある。従来の長距離バスでは利用者は「出発地~バスターミナル~到着地のバスターミナル~最終目的地」という煩雑な乗り継ぎを余儀なくされていた。この仕組みは高速鉄道の速さや快適さにも配車サービスの柔軟性や利便性にも及ばず、利用者離れは避けられなかった。

誰もが、長距離バスは歴史の舞台から姿を消すと思っていた矢先、意外にも力強く復活し、人気を集めるようになった。今年の夏、長年人々の視界から遠ざかっていた成都~重慶間の長距離バスが新たな形で復活した。6月下旬には成都~重慶間の都市間快速バスが正式に運行を開始し、片道運賃は最安50元(約1208円)となった。これに対し、高速鉄道の普通車指定席は約150元(約3626円)で、バスの3倍の価格である。

この路線の人気ぶりは驚くほどで運行開始からわずか1週間で乗車率は98%を超えた。

これは一つの事例にすぎない。データによると、25年には中国全土のオーダーメード型旅客輸送路線は1万1300路線を超え、「第14次5カ年計画」期間中の年間平均成長率は36.9%に達した。この数字の伸びは実際の移動ニーズの高まりを反映している。

市場は長距離バスという交通手段を見放したわけではない。ただ、その在り方を変えることが求められていたのである。その復活の背景には供給側の大きな変革があった。現在、長距離バスは従来の「バスターミナルからバスターミナルへ」という固定的な運行形態にこだわらなくなり、サービスモデルも静かに変化している。

例えば浙江省では一部のオーダーメード型旅客輸送路線で乗客が乗降場所を自由に選べるようになり、その柔軟性は配車サービスに匹敵する。四川省では一部の旅客輸送会社が大型バスを7~9人乗りのビジネス車両へ切り替え、航空機のビジネスクラスをイメージした座席を採用し、「自宅まで迎え、自宅まで送り届ける」サービスを提供している。多様なサービスの提供が利用者への魅力を大きく高めている。

CNSは「立体的な交通ネットワークは、高速鉄道が効率性を担い、長距離バスが人々の日常を支えることで、多様な移動ニーズにきめ細かく応えられる」と報道。「それこそが『誰もが快適に移動できる社会』の最も素朴な姿なのである」と強調した。

(編集/日向)

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