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モンハン、FF、クロックタワーのクリエイターが大集合「SWAN SONG」が凄い

モンハン、FF、クロックタワーのクリエイターが大集合「SWAN SONG」が凄い
なみのインディーズとは格が違う! ベテランの心意気が感じられる「SWAN SONG」
       
欧米圏に比べて日本のインディ(独立系)ゲームはパッとしない・・・なんて言われて久しい今日この頃。理由の一つに日本市場では幸か不幸かモバイル・ソーシャルゲームが急成長したため、ゲーム会社がサバイブできたことがあります。欧米(特にアメリカ)のインディゲームは大手スタジオのリストラで職を失ったクリエイターたちが、半ばヤケクソで流れ込んだ側面があるので、基本的な姿勢がやっぱり違うんですよ。

そんな中、日本のゲームクリエイターの底力を見せつけるようなゲームが、スマホアプリでリリースされました。アート系アクションゲームの「SWAN SONG」です。ゲームデザインに「クロックタワー」や「鉄騎」などを手がけた河野一二三さん。アートディレクションに「ファイナルファンタジー12」「14」を手がけた新井清志さん。メインのサウンドに「モンスターハンター」の甲田雅人さんと、豪華クリエイターの名前が並んでいます。

開発・販売元も河野さんが率いるゲーム開発会社のヌードメーカーです。同社では明確に押し出していませんが、独立系スタジオが開発・販売している点で、いわゆるインディゲームだといえるでしょう。ぶっちゃけインディゲームに明確な定義があるわけではなく、「言ったモン勝ち」なのが事実なんですが、「作りたいゲームを作るんだ!」という気概は遊んでいて、ビンビンに伝わってきますよ。

ゲームの目的は少女が乗った鳥を操作して、ステージにあるギミックを攻略しながら、ゴールをめざすこと。操作がちょっと特殊で、画面をタップすると鳥が羽ばたいて上空に舞い上がり、デバイスを左右に傾けると、そちらの方向に進みます。何もしなければ下に向かって落下していきます。他に画面の溜め押しやフリックで高速移動ができます。攻撃手段などは特になく、体当たりで仕掛けを動かしたり、敵の弱点を攻撃できます。壊せない壁や敵キャラクターに接触すると、次第に鳥の色が黒から白に変わっていき、真っ白になるとミス。ただし時間によってライフが復活していきます。

ゲームの特徴はインタラクティブに変化するビジュアルとサウンドでしょう。パーティクルや流体表現など、常に背景の一部がアニメーションを続けるさまが美しく、終末期を迎えて滅びゆく世界観と相まって、唯一無二の表現を作り出しています。「おとぎの国」を思わせる、平面的で絵画的な表現も国産ゲームならでは。欧米圏では出にくい映像演出ではないでしょうか。サウンドもゲームの状況に応じてリアルタイムに楽曲が変化したり、変調したりと、凝った演出が行われています。

超巨大なボスキャラクターも必見でしょう。ゲームの要所で、ステージを破壊するような勢いで超大型キャラクターが登場し、プレイヤーの行く手を遮ります。画面に手だけが表示されたり、何の理由もなく巨大な円盤生命体に襲われたりと、いずれも大胆かつシュールな演出。その一方で「ゼビウス」のように、すべての表現が綿密な世界観の下に構築されているかのような、深みを感じさせるものになっています。遊んで久々にビックリしました。

最後にデバイスとの一体感をつきつめた操作デザインです。スマホの特徴である「縦画面」「片手持ち」という制約の中で、タッチ・フリック・傾けといった操作を使って、どれだけコンソールゲーム的な操作感覚を提供できるか。かなり真剣に突き詰められています。慣れないうちは戸惑いましたが、自由自在に飛び回れるようになると、脳汁が出るくらいハマります。ただし、画面が小さいと逆に遊びにくいかも・・・。自分はiPad miniの両手持ちがピッタリだったことを付記しておきます。

もっともスマホアプリって通勤通学などの隙間時間にプレイするものだし、ゲーマー以外のお客様の方が多いので、「ゲームっぽいゲームを作る」のは、昔から禁じ手とされています。基本プレイ無料のアイテム課金ではなく、落としきりの有料ゲームという点も、収益面を考えれば「本気?」という感じでしょう。たぶん新人企画者がこれと同じ企画書を社内で書いたら、即座にボツだと思います。「ゲームらしいゲームを作って、どうするんだ。もう少しお客様の生活シーンを考えろ! ついでに課金要素も増やせ!」的なツッコミが目に浮かぶようです。

でも「作りたいゲームを作ってこそナンボ」じゃないですか。それに本作ではテキスト表示を最小限にするなど、当初から海外市場が念頭に置かれているように思われます。ぜひ日本のみならず、海外のゲーム好きに遊んでもらいたいですね。そのためにもIndependent Game FestivalやIndieCadeなど、海外のコンペディションやイベントにどんどん挑戦して、賞を狙って欲しいところです。これらの受賞回数を増やすのが、海外インディゲームのマーケティングにおけるセオリーですから。

ただし懸念点を上げるとすれば、ギミックを解かなければ先に進めないにもかかわらず、謎に詰まったときの救済手段がない点でしょうか。そのためゲームに詰まって先に進めないまま、止めてしまう人も少なくないと思われます。実際、自分も何度か詰まって放置してしまい、でも気になって翌日にプレイしてみたら先に進めた、なんてことが何度かありました。思わせぶりなロケット発射台、海底洞窟・・・。わかれば、なんてことはないんですけどね。でも、うーん・・・。

独特の操作系も諸刃の剣で、脳汁が出るようになる前に、イライラして止めちゃう人がいるかもしれません。だんだん操作が難しくなるように、よく考えられたステージ構成であるのは確かなんですが・・・。(こと日本では)ビジュアル面にひかれて手に取るユーザーも多いと思うので、何度も同じところでコンティニューしているとヒントが表示されたり、難度が自動的に下がるといった仕組みがあれば、より多くのユーザーにリーチできるのではないかと思います。

ともあれ、繰り返しになりますが日本のゲームクリエイター、それもコンソールゲーム時代からのベテラン勢の気概が十二分に感じられるゲームです。「最近ゲームらしいゲームを遊んでないなー」と思う人がいたら、ぜひ挑戦してみてください。どこか新しくも懐かしい、そんな感覚が得られるのではないかと思います。
(小野憲史)

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