月の土壌から作られた繊維の実験サンプルが5月11日、中国の宇宙貨物船「天舟10号」によって中国の宇宙ステーションに到着しました。このサンプルは今後、船外で高真空、強力な放射線、極端な温度変化といった宇宙環境に長期間さらされ、耐久性などが検証されます。

中国の研究チームは月環境を模倣した世界初の紡糸装置をゼロから設計し、高温熔融および真空牽引技術を用いることで、月探査機「嫦娥5号」が持ち帰った0.5グラムのレゴリス(月面堆積層)のサンプルから、長さ約3メートルで太さが髪の毛ほどの繊維を作成することに成功しました。原料となったサンプルは、数十億年にわたる宇宙風化を経た玄武岩質の試料です。

この研究は10年前の2016年に過酷な宇宙環境に耐える素材の開発として始まったもので、2020年に嫦娥5号が月面土壌のサンプル採取に成功したことが重要な転換点になりました。この取り組みは将来の月面科学基地建設を目指したものです。月面基地の建設では、地球と月との間の輸送コストが極端に高額であることから、月での資源を活用して建材などをその場で製造することが重要な方法とされています。

月面レゴリス由来の繊維の潜在的な用途には、柔軟性を持つ構造材料や月面レゴリス・コンクリートの補強材などが考えられますが、現時点ではまだ基礎的な検証段階です。(提供/CGTN Japanese)

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