中国の火星探査機「天問1号」がこのほど、火星軌道上から太陽系に飛来した「星間訪問者」の鮮明な撮影に成功し、その特異なダスト活動の情報を取得したことが20日、中国科学院国家天文台への取材で分かった。関連研究成果は「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(The Astrophysical Journal Letters)」に掲載された。

科技日報が伝えた。

この星間訪問者は「3I/ATLAS」と呼ばれる天体で、天文学者によって確認された3番目の恒星間天体だ。2025年7月に発見され、その軌道から、数十億年前に誕生し、太陽系外の遥か遠い宇宙から飛来したことが明らかになっている。25年9月末から10月初めにかけて火星に接近したことで、火星軌道上を周回していた天問1号にとって絶好の観測の機会をもたらした。

中国科学院国家天文台などの研究者らは、天問1号に搭載された高分解能カメラを用い、25年9月30日から10月3日にかけて3I/ATLASを3回にわたり撮影した。画像からは、この星間訪問者のダストの尾の形状が明らかに変化し、扇形から湾曲した細い尾へと徐々に変化していく様子が確認された。

研究チームの分析によると、この天体が噴出したダストは主に数百マイクロメートル級の比較的大きな粒子で構成されており、通常の太陽系彗星でよく見られるマイクロメートル級のダストよりも大きかった。ダストの噴出速度は毎秒約3~10メートルだった。この恒星間天体は観測角度の変化によって全体形状が変わったにもかかわらず、その明るさは驚くほど安定していた点は注目に値する。

観測データから、この恒星間天体は平均して毎秒約1トンのダスト物質を噴出していると推定された。論文の筆頭著者である中国科学院国家天文台の任鑫(レン・シン)研究員は、「これまで確認された2番目の恒星間天体との比較から、噴出を駆動する主なガスは水氷である可能性が高く、また天体そのものの大きさが『減量』の速度を直接左右していると推測される」とした。

また、これまでの研究では、この天体に複数のジェット噴流が存在するとした見方もあったが、天問1号が異なる視点から撮影した画像ではそうした構造は確認されず、従来の見解について再検討が必要であることが示された。

任氏は、「今回の観測成功は天問1号ミッションの重要な応用・拡張であり、周回機が安定して良好な状態にあることを示しただけでなく、深宇宙探査機が突発的な『機会の目標』に対して柔軟な観測能力を備えていることも実証した。今後の深宇宙探査ミッションにとって貴重な経験となる」とした。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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