2026年5月20日、中国メディアの光明日報は「『新華字典』、海賊版の販売数がまさかの正規版超え?」と題し、ECサイトのアルゴリズムや審査の緩さが海賊版書籍の拡散を助長し、出版業界が深刻な危機に直面していると報じた。

記事は、老舗出版社の商務印書館が販売する「新華字典」などの主要な辞書類において海賊版の売り上げが正規品をはるかに上回っている現状や、学校全体で数千人の生徒が全員海賊版を使用しているケースがあることを紹介した。

また、具体的な例として、作家の劉震雲(リウ・ジェンユン)氏による新作「咸的玩笑」は昨年12月の発売から1週間足らずで海賊版が出回ったと伝えた。

その上で、海賊版が大量に出回るようになった背景として、書籍販売形態の大きな変化に言及。昨年の書籍販売ルートのうちECサイトが約90%を占める一方、実店舗での販売はわずか3%程度にとどまったとし、「咸的玩笑」についても発売から5カ月で海賊版へのリンクが累計3319件検知されたと紹介している。

記事は、あるネットメディアの分析として、プラットフォーム側がアクセス数とユーザー定着を優先し、意思決定コストが低い書籍を「客寄せ商品」として利用しているとも指摘。この問題は昨年の「両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)」でも取りざたされていたことを報じている。

さらに、海賊版業者が虚偽の情報で店舗を登録し、大規模な在庫を持たずに町工場での小ロット・オンデマンド印刷へと手口を転換させている実態も紹介。出版社が海賊版店舗を通報して閉鎖させても業者がすぐに別名で再開する「モグラたたき」のような状況であると伝えた。

記事は、こうした構造的な問題が創作の現場にも影を落としているとして、作家の李娟(リー・ジュエン)氏が著作権への不尊重は創作者の創作意欲を削ぎ、文化生産を無限の繰り返しに陥らせ停滞させると訴えていることも指摘。こうした状況を受け、大手SNSやECサイト計10社が、書籍のネット販売秩序の適正化に向けた3カ月間の特別対策行動を開始したことを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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