広大な中国にも全土で事業を展開する飲食チェーン店がある。最も有名なのは日本にも進出している「沙県小吃」で、中国では飲食チェーン店の代名詞ともなっている。
中国メディアの捜狐は26日、中国で大規模展開しているサイゼリヤを「イタリアン版沙県小吃」として紹介する記事を掲載した。これまでのイタリアンの常識もファーストフードの常識も覆し、中国を征服する勢いだとその強さの秘訣を探っている。

 記事はまず、多くの中国人にとって西洋料理というと高級で敷居が高いイメージだったと伝えている。中国にすでに進出していた米国系ピザチェーン店は、海外ではピザの宅配がメインだが、中国では高級西洋レストランの路線で事業を展開しており、客単価も非常に高い。

 一方、沙県小吃などの中華料理を提供する中国のファーストフード店といえば、安い・うまい・速いと3拍子揃ったイメージが定着している。それゆえ多くの中国人にとって「イタリアン」と「ファーストフード」は相反する存在であり、安い「イタリアン」を提供するサイゼリヤは新鮮な存在だったようだ。

 記事の中国人筆者も初めてサイゼリヤに入った時は、店名から内装までいかにも高級そうなレストランで、どれだけ高いのかとドキドキしたようだ。しかしメニューを開くと非常に庶民的な価格で、料理もすぐに出てきて味もおいしく「イタリアンなのに沙県小吃と同じで薄利多売を方針にしている」と固定概念が一変させられたと伝えている。

 中国にはこうしたチェーン店は少ないと言えるだろう。記事は「中国を征服」する勢いのサイゼリヤについて、成功はサービスのマニュアル化と機械化、製造直販による徹底した作業効率とコスト削減にある、と分析している。

 サイゼリヤは日本ではイタリアンファミリーレストランという位置付けだが、記事の中国人筆者の主張を見ると、中国ではどうやらイタリアンとファーストフードの良いとこどりをした、「日本のイタリアンファーストフード店」として認識されているようだ。中国でもサイゼリヤを参考にしたチェーン店が出てくるのかもしれない。
(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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