日本の熊本県で7月28日、死傷者が出る巨大地震が発生した。政治経済の研究や評論を行う台湾人の沈栄欽氏はフェイスブックへの投稿で、もし中国でこれほど大きな災害が発生した場合、皆は被災状況に注目する以外に、スターや企業家の寄付金にも注目し、さらにはランキングまで作成すると指摘し、これは日本と完全に異なると評した。
沈氏は、中国から日本へ移住して長年になるという夏目氏の観察を引用した。夏目氏は、もし中国で重大な災害が発生した場合、「皆が最も注目するのは被災状況のほかに、もう1つのこと、つまり『誰が寄付したか』だ」と指摘した。夏目氏によると、テレビニュースが報じ、個人メディアが書き、ネットユーザーもランキングを作成し、「多く寄付したことで表彰される人がいる一方で、寄付が少なくて非難される人もいる」と紹介した。
しかし夏目氏は「日本では、まったく異なる光景が見られる」と紹介した。熊本の地震発生後、連続して何時間もニュースをチェックしたが、「誰々というスターがいくら寄付した」「某企業が何億円を豪快に寄付した」というニュースは全く見られなかったという。沈氏は、「私は後になって知ったが、日本でも当然ながら寄付する人はいるし、大企業も寄付する。トヨタ、ソフトバンク、楽天などの大企業は、日本で重大な災害が発生した際、過去にはいずれも被災地に寄付金、物資、機材、または従業員による支援を提供した。多くの企業はさらに物流、通信などの資源を開放して救済を支援する」と紹介した。
日本では多くの芸能人やスポーツ選手、俳優も慈善団体などを通じて寄付をするが、日本のメディアは通常、こうしたことがらを連日のようにトップニュースにしたりはしない。企業の場合にはプレスリリースを1部発表して終わりにするケースもあり、著名人の場合には金額さえ公表しない場合が珍しくない。つまり日本と中国には極めて大きな違いがある。
これに対し、一部の中国人ネットユーザーは、日中の差は100%文化の違いに帰することはできず、政府も関係しているとの考えを示した。なぜなら中国では、民間の災害救助は政府に厳しく禁止されるからだ。例を挙げると、今年(2026年)5月の水害では、民間の救援隊が自発的に被災地へ救助に向かったが、中国政府から警告と命令を受けて撤退した。真の原因は、民間の自発的な組織行動が政府の治安維持に影響を及ぼすためだ。沈氏は、「中国人は何もできない以上、当然ながら傍観者になるしかなく、誰が多く寄付したかを比べるのに毎日忙殺される」と指摘した。
台湾で天災が発生した場合はどうだろうか。2025年の花蓮県の馬太鞍渓でのせき止め湖の災害を例にすると、メディアは各界からの寄付も報じたが、重点は置かなかった。沈氏は、「メディアが重視するのは行政院(台湾政府)の募金プロジェクトだ。当初の目標は5億台湾ドル(約24億5000万円)だった。しかしわずか10日間の内に9億3000万台湾ドル(約45億6000万円)を突破し、10月24日の終了時には累計募金額が13億9000万台湾ドル(68億2000万円)に達した。寄付の総件数は31万件を超えた。大部分の名もなき民衆の熱烈な寄付こそが、メディアの関心事なのだ」と指摘した。
しかし実際にはせき止め湖の災害についての台湾メディアの報道の中で寄付関連が占めた割合は低く、ほぼすべてのメディアが大きく報じた話題は「シャベルマン」だった。驚くことに政府や大企業が動いたのではなく、一般人が自発的にSNSを通じて呼びかけ、数十万人の民衆が集まり自ら被災地に赴いて支援したのだ。
沈氏は、被災地を選挙区とする中国国民党の有力議員である傅コンキ(「コン」は山へんに「昆」、「キ」は草かんむりに「其」)氏の事例にも触れた。傅氏は現場の「シャベルマン」に求められて泥をシャベルでかいたが、象徴的に2、3回かいただけでやめてしまった。なぜなら傅氏にとって本当に重要なことは別だったからだ。傅氏はその後、シャベルマンのグループを利用して、花蓮で災害が発生したのはすべて中央政府の責任であり、自分と県長(県知事)を務める妻には功績があっても責任はないと全力で批判した。中央政府は直ちに猛反論した。沈氏は「双方はこの時点から責任の帰属をめぐる非難の応酬に陥った」と批判した。
沈氏は「こうして見ると、台湾の文化は中国とは異なり、日本により近い。しかし民間の自発的な力は日本よりもさらに普遍的だ。この民衆の行動は台湾の比較的独特な現象だ」と、主張し、台湾の政治家の行動は社会全体と比べれば劣ると批判した。沈氏はさらに、台湾の政治家について「台湾の有権者の奇妙な好みも反映している」と、災害時には人々が求める行動をしない政治家が選挙では当選してしまう現実を皮肉った。











