中国の新エネルギー車ブランド、哪吒汽車(Neta)を巡り、親会社が3年間で183億元(約4270億円)に上る純損失を計上していたことが報じられた。
これは、企業誘致に向けた地方政府の不合理な競争を取り上げた中国国営中央テレビ(CCTV)の21日の番組内で伝えられたものだ。
地方政府にとって企業誘致は一貫して経済発展のカギを握る手段であり、それは中国経済が急成長する上で重要な役割を果たしてきた。だが、誘致競争が激化する中でさまざまな違反政策も出現。この問題は地方の財政負担を増やすだけでなく、不公平な競争もエスカレートさせ、産業の健全な発展に潜在的なリスクをもたらした。
番組によると、哪吒の親会社・合衆新能源汽車(Hozon Auto)は、かつては中国の新エネ車市場における「スター企業」だった。2021年に稼働した江西省宜春市の経済開発区にあるスマート工場は市にとって重要な誘致成果だったが、今ではがらんとした建物とほこりをかぶった生産ラインだけが残っている。
宜春市経済開発区企業誘致サービス局の劉洋(リウ・ヤン)局長によると、当時、新エネ車は国が奨励する分野で、実力と市場での展望を持つ企業を誘致して地元の産業発展につなげたい考えがあったという。
ただ、宜春はもともと自動車産業の基盤を持たず、これといった立地的強みもなかった。各地が奪い合う新エネ車企業を誘致するため、経済開発区管理委員会は合衆新能源汽車との間で投資総額50億元(約1170億円)の大半の調達を引き受ける内容を盛り込んだ契約を交わしていたという。
番組では「企業誘致と言いながら大部分の資金を経済開発区側が出していた」として、市の国有資産監督管理委員会や財政局傘下の企業が約20億元(約470億円)を出資して株式を取得したなどの状況が説明された。
また、「市は誘致過程の中でリスクに見合わない『優遇政策』を与えた」と述べ、「一部地方では、『特別な政策』を示さなければ大企業を誘致するのは難しい」との認識が持たれていたと伝えた。宜春市が出した多くの優遇条件は法規に違反するものだったという。
番組は合衆新能源汽車の広西チワン族自治区南寧市内の工場についても取り上げ、「年産10万台の純電動乗用車プロジェクトで、資金の大半は南寧側が負担した」などと伝えた。
また、国家発展改革委員会体制改革総合司の胡朝暉(ホー・チャオフイ)副司長が「ある地方は実績を作るために無理な投資や補助競争を行い、これが企業誘致の過当競争を招いた」としたことを紹介した上で、「こうした競争の結果、各地で新エネ車プロジェクトが続出し、23~24年には新エネ車市場でシェア獲得のための価格競争が起きた」と指摘した。
さらに、「こうした中、誘致契約を結んだ際に軽視されていたリスクが徐々に顕在化した」として、「資料によると、21~23年の合衆新能源汽車の純損失は183億元に上った」と言及。25年下半期に同社が債権者から破産再建を申し立てられたことも伝えた。
企業誘致の過当競争で一部地方では投資が水の泡となり、産業の発展にも影響が及んだ。中国の新エネ車ブランドが一時300以上に達したことは地方の不合理な出資と無関係ではないといい、番組は最後に「現在は企業誘致を巡る過当競争が抑制されつつある」として24年8月に「公平競争審査条例」が施行されたことなどを伝えた。(翻訳・編集/野谷)











