2026年4月26日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国の若者が組織に頼らずAIを活用して独力で起業する「一人会社(OPC)」を選ぶ動きが広がっていると報じた。

記事は、中国のSNS上で長年、IT業界や公務員など競争の激しい分野にまん延する年齢差別を指す「35歳の呪い」が嘆かれ続け、人工知能(AI)ツールの急速な進歩が既存企業の雇用を脅かす一方で、起業者にとっては心強い「チームメイト」として歓迎されていると伝えた。

そして、上海で独立起業家向けの週末イベントを主催する起業支援団体「SoloNest」の戴雯倩(ダイ・ウェンチエン)氏が「一人会社はAI時代の産物だ」と語り、AIによって創業のハードルが下がったとの見方を示したことを紹介した。

その上で、昨年IT企業のプロダクトマネージャーを辞め、企業向けにAI生成の広告動画を手掛けて月収最高4万元(約94万円)を得ているという王天一(ワン・ティエンイー)さん(26)の事例を挙げ、独立起業が今後の大きなトレンドになると王さんが予測したことを伝えた。

また、外資系コンサルティング会社での書類審査業務はいずれAIに取って代わられると見越して同社を離れ、SNSのコンテンツ制作へ転向したという上海在住の魏欣(ウェイ・シン)さん(34)が「AIに対する焦りはある。AIを使いこなさなければすぐに淘汰されてしまう」と打ち明けたことにも触れた。

さらに、中国各地の地方政府がAI駆動型の「一人会社」を支援する政策を打ち出していることを紹介。江蘇省蘇州市では昨年11月、28年までに1万人を超える人材育成を目指す計画を発表し、AIロボット、ヘルスケア、スマート輸送などの分野に約7億元(約164億円)を投じる方針を示したと報じた。

記事は、米ブルッキングス研究所中国センターの陳凱欣(チェン・カイシン)研究員が、OPCへの支援は16~24歳の6人に1人が失業しているとされる中国の深刻な若年層失業問題に対する低コストな対策でもあると指摘したと伝えた。

そして最後に、「SoloNest」の戴氏がOPC志向を持つ中国の若者について、「AIの便利な助けを借りて、自分の力で本当にやりたいことを探求できるだろうか」と自問していると評したことを併せて紹介した。(編集・翻訳/川尻)

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