2026年6月3日、中国メディアの第一財経は、卒業論文へのAIチェック導入によって生じた、学生がAI率を下げるための自費によるチェックや、論文をわざと稚拙に書き直すといった実態を報じた。

記事は、中国の多くの大学が卒業論文に生成AIチェック方針を導入し、AI率の警戒ラインを20~40%に設定していると紹介。

この数値を超えると論文の匿名審査や口頭試問に影響が出るため、学生が修正作業に追われていることを伝えた。

そして、重慶市の大学4年生、周(ジョウ)さんの事例として、提出前のチェックで自力で書いた論文のAI率が80%と判定されたため、締め切り前日に無料AIツールを使って深夜まで修正し、ギリギリ20%以下に下げて答弁資格を得たものの、その後指導教員の指示で修正したところ再び20%を超えてしまったエピソードを紹介した。

記事は、「下がったはずのAI率がまた上がってしまう」問題が発生する背景として、チェッカーの信頼性に対する疑問に言及。記者がDeepSeek(ディープシーク)を使用して生成した100%AI文章をチェックにかけたところ、知網(CNKI)は0%、維普(VIP)は55.71%と判定結果に大きな差が生じたことを示した。

また、信頼性が疑わしいにもかかわらず何度もチェックを繰り返さざるを得ないため費用がかさむことも大きな問題として指摘。チェッカーを提供する企業が利益を得た上でAI率を下げるリライトサービスまで提供している不健全な構造を伝え、大学院生の阿秋(アーチウ)さんがAI率の基準をクリアするためにチェックを7回繰り返し、合計780元(約1万8000円)も費やす羽目になったという事例を取り上げた。

さらに、学生がAI率を下げるために専門用語を安っぽい表現に置き換えたり、整った文章の並びをわざと乱したりして、論文をあえて質の低いものに書き換えるという矛盾まで生じていると紹介した。

記事は、復旦大学の趙斌(ジャオ・ビン)教授が「洗練された文章ほどAI率が上がり、論理が混乱した文章ほど人間と判定されやすい」現象を指摘した上で、大学はやみくもにレッドラインを設定するのではなく、使用の境界線や規範を明確にすべきだと提言したと伝えた。

また、中国教育部の委託を受けた関連学会もこの方向性に沿ったガイドラインを発表し、技術的なチェックへの依存から学生の思考プロセスを重視する評価への転換を提言していることを報じた。(編集・翻訳/川尻)

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