台湾メディアの中時新聞網は26日付で、日本のキーボードブランドであるフィルコ(Filco)が、販売を終了した話題を取り上げた。台湾人ゲーマーに極めて高く評価され、「昔は誰もが1台は買いたい」と思っていたが、新技術の導入が進まず、価格競争力もなかったために、素晴らしい基本性能がありながら市場から姿を消したという。

Filcoブランドを展開するダイヤテックは22日に、会社としてのすべての業務を終了すると発表した。廃業の理由は説明しなかったために、台湾人ゲーマーの間で議論が発生したという。

ノートパソコン用などではなくキーボードとして独立した製品には、メンブレンキーボードとメカニカル(機械式)キーボードの2種がある。Filcoが製造販売してきたのはメカニカルキーボードだ。歴史を見れば最初に登場したのは、一つ一つのキーが独立した機械式スイッチであるメカニカルキーボードだ。一方のメンブレンキーボードは、3層の膜(メンブレン)がキーボード全体を覆う構造で、キーを押すと最上層の膜と最下層の膜が接触して電流が流れて打鍵を探知する。

PCゲーマーと呼ばれる層が確立されたのは1990年代後半から2000年代初頭で、販売されるキーボードの9割以上が、安価なメンブレン式だった。しかしメカニカルキーボードは打鍵のクリック感が明確で打ち心地が快適であり、しかもキーの寿命が当時のメンブレンキーボードよりずっと長かったことでゲーマーの人気を呼び、「ゲーマーの必須アイテム」とまで言われるようになった。特にFilcoのキーボードは「10年使っても問題が出ていない」などの声も出るなど、きわめて高く評価された。

ところが最近では、他社ブランドが台頭し、Filcoのキーボードの市場シェアは大幅に下落する状態になった。まず第一の原因は、今の主流である「遅延のない無線接続」や、好みのスイッチに自分で付け替えられる「ホットスワップ」、さらには反応速度を極限まで高めた最新技術といった潮流についていけなかったことだ。他社のキーボードでは3種類の接続を選択できるようになったのに、Filcoの場合には今も2種類に留まるなど、技術の遅れは顕著だった。

もう一つの原因は、価格競争力がなかったことだ。ここ数年は中国大陸の多くの小規模メーカーがキーボードの研究開発に次々に参入して、過当競争が深刻になった。それらのブランドならば、2000台湾ドル(約1万円)未満の価格で最新技術を投入した最上位クラス製品を入手できるが、技術力の伴わないFilcoのキーボードは4000台湾ドル(約2万円)以上の価格だった。

Filcoのキーボードはかつて、多くのゲーマーのあこがれだった。特にマジェスタッチ・ニンジャ(Majestouch NINJA」)と銘打った製品は、他のメカニカルキーボードの2倍以上の値段だったにもかかわらず市場で「争奪戦」になり、ゲーマーの「信仰の対象」にすらなった。しかしFilcoは、新技術の投入が追い付かなかったことなどで、市場から寂しく姿を消すことになった。(翻訳・編集/如月隼人)

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