東京六大学野球春季リーグ戦第6週 第1日▽法大2―0慶大(16日・神宮)

 法大が3投手によるゼロ封リレーで慶大に先勝した。茗渓学園(茨城)の軟式野球部出身の右腕・助川太志投手(4年)が5回2安打無失点の快投でリーグ戦初勝利を挙げた。

東大を除く5校において、軟式出身者のリーグ戦勝利投手は極めて異例となった。

 ゲームセットを前に、涙がこみ上げた。ベンチから声援を送る助川の胸には、入学から今に至るまでのさまざまな思いが去来した。試合終了の瞬間、雄たけびを上げて整列へと走った。軟式出身者が名門・法大で第1戦の先発を託され、白星をもぎ取った。意義深い1勝だった。

 「まさか自分が入学したとき、神宮の舞台で1勝を取れるとは、夢にも思っていなかった。泣くほどうれしいです。まだ勝っていないのに、気持ちが先走ってしまいました」

 「自分は球速が出ないんで。基本的に真っすぐという球種はなくて」と言う。法大入学後、ボールを“動かす”技術を習得した。カットボール、スライダーも駆使して、左打者の内角をえぐり、マウンド上でほえた。

 前週、チームは東大に連敗し、勝ち点を献上したばかり。「切り替えるしかない。自分からチームを鼓舞するような投球を心がけた。気持ちを込めて投げました。チームにいいエネルギーを持ち込めた」と65球に胸を張った。

 小中と硬式だったが、高校では軟式野球の強豪・茗渓学園でプレー。軟式球界では好投手として知られた。

 「自分の中でどうしても、レベルの高いところから逃げてしまった負い目もあった。大学では絶対、一番レベルの高いところに行こうと思って、六大学を受験して、法政に拾ってもらいました」

 一般入試で、英語で全て講義を行うグローバル教養学部(GIS)に合格。文武両道を貫き、TOEIC905点を誇る。NPB通算83勝の元近鉄投手・高村祐助監督の指導を受け、才能は開花。「『期待しているから』と言ってくれて…。

試合後、3回握手しました」と頭を下げた。

 野球継続か、一般就職か。進路は未定だ。「どっちも模索しながら。野球継続もしたいですし、かなわないのなら今頑張っている就活で、進路を決めたい」。たゆまざる努力で不可能を可能にしてきた。ガクチカは完璧。いずれにせよ、求められる逸材に違いない。

 日本の野球界にとって、身近な環境で気軽に始められる、軟式野球のメリットは大きい。軟式野球に青春を燃やす高校生たちに、こんなメッセージを送った。

 「しっかり努力を継続し続ければ、すごいところに自分を連れて行ってくれると、証明できたと思います」

 ウィニングボールは、支えてくれた両親に贈る。価値ある、尊い1勝を刻んだ。

(加藤 弘士)

 ◆助川 太志(すけがわ・たいし)2004年6月24日、千葉・我孫子市生まれ。21歳。小4から松戸柏リトルで硬式野球を始め、茗渓学園中では白井シニアで硬式をプレー。硬式野球部のない茗渓学園では軟式野球部に所属。法大では3年秋にリーグ戦初登板。リーグ戦通算13試合に登板し、1勝1敗、防御率2・27。180センチ、77キロ。右投右打。好きなタレントは千鳥。

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