中国国務院(中国中央政府)はこのほど、「常住地における基本公共サービスの提供推進に関する実施意見」を発表した。「意見」の形式であっても地方政府に対する事実上の要求だ。
中国の常住人口登録制度、すなわち「戸籍」は、1950年代に始まった。主たる目的は人口の流動を管理することで、中国人の戸籍を「都市」と「農村」に大別し、長期にわたり人々の権利や福祉制度において差別的な待遇を行ってきた。
一方で、改革開放に伴い都市部の経済が発達し始めると、都市部では膨大な労働人口を必要とするようになった。中国はそのため、「暫住戸籍(暫定居住戸籍)」の制度を導入した。現在では、特定の都市の「暫住戸籍」を獲得すれば、その都市の「居住証」を受け取れる仕組みだ。居住証を所持していれば、農村戸籍の所持者でも該当する都市での長期滞在が認められるが、都市部の従来の住人とは違い、都市部での比較的手厚い民生保護の対象にはならなかった。
国務院による「意見」は、住民には戸籍の種類にかかわらず、同等の公共サービスを提供することを求めた。まず、農村戸籍の所持者が就業地で従業員社会保険に加入する際の制限を全面撤廃すること、さらに常住地における基本医療保障を強化し、「居住証の所持者が都市・農村住民基本医療保険に加入する政策」に力を入れることを提起した。
中国では、農村出身の「暫住戸籍」所持者が都会で生活している場合、自らの子を呼び寄せて就学させることが困難だった。そのため、子は祖父母などに預けられ、両親と長期にわたり共に暮らせない事例も多く、問題視されていた。「意見」は、農村出身者が都市部で暮らしていて子を呼び寄せた場合でも公立学校に就学する割合を高めるなど、「教育の保障」を改善することを提起した。
「意見」はさらに、より多くの都市が安定して就業し居住している暫住戸籍所有者の常住人口家庭を公共賃貸住宅の保障範囲に組み入れることを推進し、就業と居住の年数、住宅困難の程度に応じて保障対象、保障方式、保障基準、参入条件および退出に関連するルールを確定することを提起した。
「意見」はまた、暫住戸籍所有者の常住地における児童ケア、高齢者介護や支援、生活困難者の社会的支援、障害者支援などの基本公共サービスの範囲に段階的に組み入れていくよう求めた。英紙「エコノミスト」の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニットでアナリストを務めるイン・ジャン氏は、「重点的に観察すべき問題は、北京や上海などの超大都市がどの程度、これらの(「意見」に盛り込まれた)措置を採用するかということだ」と指摘した。一般的に、地方の中小都市は労働力確保のために外来の労働者に有利な政策を導入する傾向があり、大都市では膨大な外来の労働者に対応する民生上の政策の導入は比較的難しいとされる。(翻訳・編集/如月隼人)











