香港メディアの香港01は2日、中国で今年、相次いで大規模な事故が発生し、特に中高年層が犠牲になったことについて「社会構造上のリスクが存在する」と報じた。
5月3日、遼寧省丹東市東港市で山菜採りの作業員21人を乗せたワゴン車が横転し、8人が死亡、13人が負傷した。
記事はこれら4件の事故でいずれも中高年の労働者が多数犠牲になったとし、その背景として中国で中高年層が置かれている厳しい生活環境があると指摘。遼寧省の事故では、犠牲者となった農村部の中高年女性たちは農業収入の低下により家計を支えるため複数の町を行き来しながら日雇い労働に従事していたとし、多くは労働契約や保険などの保障をほとんど持っていなかったと説明した。また、犠牲者の多くには1人息子がおり、息子の結婚や住宅購入、子育て費用を支えるため、高齢になっても働き続けざるを得ないという事情があったとも言及した。
山西省の炭鉱事故で犠牲になった中高年労働者にも同様の事情がみられたといい、「この炭鉱では安全管理が極めて不十分で、コスト削減のため必要な調査工程が省略されることもあった。それでも多くの労働者がこの現場で働き続けたのは、家計を支える必要があったためだ」と指摘。中には一度は危険であることを理由に鉱山を離れたものの、息子の結婚や住宅購入費用を賄うため、再び働き始めた人もいたと紹介した。
記事は、「こうした事故の犠牲者の多くは1960~70年生まれで、この世代は改革開放後の経済成長の恩恵を受けた一方で、中国社会の過渡期に位置する『板挟み世代』でもある」と説明。「上の世代には親の介護や扶養を求められ、下の世代には都市部での住宅取得や結婚、子育てへの支援を期待される。伝統的な孝行意識と強い家族への責任感を持つ世代で、自らの老後よりも家族を優先し、危険性や労働条件を十分に考慮せず働くケースが少なくない」と論じた。
そして、「中国はすでに世界第2位の経済大国であり、世界最大の工業国でもある。多くの中高年層が時代の恩恵を享受し、豊かな生活を送っている一方、辺境地域や経済発展の遅れた地域では生活に苦しむ中高年層も数多く存在している。依然として『6億人の月収は1000元(約2万3000円)程度にすぎない』という現実があり、1億人を超える農民や農民工は毎月ごくわずかな年金しか受け取れない。中国社会の問題は、人々の間で膨れ上がる豊かな生活への需要と、不均衡かつ不十分な発展の間に存在する」と指摘した。
その上で、「今年、大規模な事故が相次ぐ中で社会の底辺で働く中高年層が大勢犠牲になった。これは単なる安全管理の問題ではなく、住宅、結婚、年金、地域格差といった社会構造上の問題とも深く結び付いている。再発を防ぐためには、事故そのものへの対策だけでなく、人々が危険な環境で働かざるを得ない状況をどう改善するのかという根本的な課題に社会全体が向き合う必要がある」と結んだ。(翻訳・編集/北田)











