第1話では、とにかく過保護(……というか過干渉?)に育てられたせいで、ものすごーく世間知らずなまま大人になってしまったカホコ(高畑充希)が、画家を目指している同級生・麦野初(竹内涼真)と出会ったことで
人生を見つめ直し、「みんなを幸せにするような仕事をしたい」と決心。
第2話では、いよいよカホコが「みんなを幸せにする仕事」をはじめるのかと思ったのだが……。
千羽鶴折ってる場合じゃないぞ
カホコのいとこ・イト(久保田紗友)がプロのチェロ奏者を目指して、ウィーン留学のかかったコンクールに挑むことになる。
しかし以前から手首に痛みを感じており、コンクール中に演奏を中断。そのまま緊急入院し、原因不明の神経障害ということでチェロを続けるのは難しいかもしれないと診断されてしまう。
実は、カホコはイトが手首を痛めていることを事前に知っていたにも関わらず、口止めされていたため誰にも言っていなかった。
責任を感じたカホコは、イトのために何かをしてあげたいと悩むのだが、その結果やることにしたのが「千羽鶴を作る」……。うーん、悪いことではないんだけどね。
これまで、カホコのマイペースっぷりをさんざんディスってきた麦野だが、なぜかこの提案に対しては、
「どんだけ時間がかかると思ってるの、千羽も折るの」
というリアクション。突っ込むところ、そこ!?
すべてを捧げてきたチェロを弾けなくなってしまい、絶望しているイトの元に、千羽鶴を持っていったカホコだったが、よかれと思って余計なことを言う言う。
「片手で弾ける楽.器もある」
「歌を歌うこともできるし」
感情を逆なでるねぇ〜。
当然、これにはイトもブチ切れし、それまでため込んでいたブラックな感情をぶちまけた。
「ウチの親戚のやつらみんな大嫌いだから」
「そん中でもアンタが一番キライだった。何の取り柄もないくせにかわいいかわいいってチヤホヤされて!」
いい人そうな顔をしていたのに、突然スイッチが入って、敵意や悪意を全開にしてくるという、遊川脚本でよく見るパターンだ。
これに対してカホコは、あやまるでもなく、逆ギレするでもなく、ただただムンクの「叫び」のように耳をふさいで現実逃避するだけだった。
『純と愛』を思い起こさせるウザイ女っぷり
やっぱりカホコって、過保護とか世間知らずとかいうレベルじゃなくて、ホントに頭が足りない感が……。
高畑充希の演技がかわいらしいのでギリギリ、好意的に見ていられるのだが、これがマズイ演技だったとしたら、かなりイライラさせられてしまいそうだ。
善意100%で人のために何かやってあげようと思うものの、世間知らずで空気がまったく読めないために、相手の感情を逆なでしてしまう。
遊川和彦の代表的な問題作『純と愛』において、夏菜が演じていた主人公なのに伝説級のウザイ女・純を思い出してしまう。
いや、むしろカホコの方が「ピュアさ」を全面に押し出している分、やっかいかも知れない。
完全にカホコのせいで悪い事態を招いているというのに、「はわはわ……なんでこんなことに……」みたいなリアクションされたら、ウザイなんてもんじゃないよ。
イトにブチ切れられ、生まれてはじめて悪意を向けられたということで、メチャクチャショックを受けていたが、こんな感じの性格で、今までいじめられたりすることはなかったんだろうか(気づいてなかったのか?)。
学校でも、ごく最近知り合ったばかりの麦野以外に会話をする友達すらいなそうなのが心配だ。
毒親 VS バカな娘
ものすごーくウザイものの、カホコが抱えている問題は、ただただバカで空気が読めないということだけ。一方、もっと大きな闇を抱えていそうなのが、カホコの母・泉(黒木瞳)だ。
カホコに対する泉の言動は、過保護というよりは、自分の思い通りにコントロールしたいという気持ちが強いように見える。
悪意や支配欲からではなく、自分の判断に間違いはなく、カホコは自分の言う通りにしていれば幸せになれると、心から思っていそうなのがまたやっかいだ。
イトの病気が判明して大混乱する親戚一同に、的確な指示をズバズバ出していた姿を見るに、確かに能力は高そうではあるのだが、専業主婦になってしまったために、その能力を活かすことができなかったという後悔のような思いも持っていそう。
女性が主婦以外の生き方をすることに否定的で、カホコに就活をやめるように勧めつつ、
「花嫁修業をすればいいじゃない。家族を幸せにするのもとっても素敵な仕事よ」
なんて言ってのける泉。
そんな毒親のコントロールから抜け出したカホコが、「みんなを幸せにするような仕事」を見つける。
ここのところ、偽装結婚や養子縁組など様々な家族の関係性をテーマにしてきた遊川和彦だが、このドラマでは、親離れ、子離れを描いていくのだろうか。
親離れして男に走るとかやめてくれ!
親離れの第一歩として、今までは何でも母親に相談できたのに、イトとのいざこざだけは報告することができなかったカホコ。
その代わりに、抱え込んだ思いを打ち明けた相手が麦野だった。
それはいいんだけど、麦野の胸を借りて号泣したり、そのまま泣き疲れて眠っちゃったりと、男に対して無防備すぎるのが気になる。
現実の女子大生がそんなことしてたら、すぐにヤラレちゃうぞ!
純粋培養されてきたお嬢様が親離れしたとたん、男に走っちゃう。そんな、上京したての女子大生あるあるな展開はやめてくれよ、と心配していたのだが、次回予告によると、まんまと麦野に恋愛感情を抱いてしまうようなのだ。あらら。
世間知らずの女が、画家志望の夢見がちな男とくっついちゃうとか、目も当てられないのだが……。
カホコの行く末を親のように心配しつつ、今夜の放送を待とう。
(イラストと文/北村ヂン)