2026年4月29日、中国メディアの観察者網は、中国が5月に硫酸の輸出を停止するとの報道を受け、海外バイヤーの間で「代替供給源がない」との混乱が広がっていると報じた。
記事は香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道として、米国・イスラエル・イランの紛争が3カ月目を迎える中、肥料生産や金属加工に不可欠な硫酸が市場の関心事になっており、世界の硫黄生産の約4分の1を占める湾岸地域での軍事衝突とホルムズ海峡の航行中断により主原料の硫黄供給が滞り、硫酸価格が上昇を続けていると伝えた。
また、これに追い打ちをかける形で、中国が5月に硫酸の輸出を停止するとの報道が流れたことに言及。25年のアジアの硫酸輸出量のうち中国産が45%、世界全体でも約23%を占めており、輸出停止は世界の供給と価格を直撃するとした。
そして、国際的な価格評価機関アーガス・メディアのグローバル肥料担当エディター、サラ・マーロウ氏が、中国の最優先事項は食料安全保障であり、リン酸肥料の重要原料となる硫黄と硫酸の国内供給を優先する必要があるとの見解を示したことを紹介した。
さらに、化学・肥料分野のMoco Tech社創設者の彭楊(ポン・ヤン)氏の話として、中国はすでに1~4月の輸出枠を約70万トンに絞っており、前年同期実績の半分強の水準にとどまっていること、この措置が少なくとも26年末まで続く可能性があることを伝えた。
記事は、中国の輸出が全面停止すれば世界の海上輸送市場だけで少なくとも300万トンの供給が失われるというアーガスの試算を紹介した上で、硫酸輸出が停止するといわれる5月を目前に控え、肥料・電池業界などの海外バイヤーが硫酸の代替供給源探しに奔走していると報じた。
このほか、商品データサービス会社の生意社の話として、硫酸のスポット価格が今年1月の1トン当たり1000元(約2万3000円)未満から1800元(約4万2000円)近くまで上昇しており、肥料コストの上昇が最終的には市場の野菜の量や価格に反映される可能性を指摘した。
記事は最後に、硫酸が肥料以外に鉛蓄電池の主要原料でもあり、銅、ニッケル、銀の採掘や精錬にも影響することから、世界的な地政学的緊張が高まる中、中国が戦略資源の安定確保を優先する理由はさらに強まっていると評した。(編集・翻訳/川尻)











