昨年11月に香港北部で発生した高層集合住宅の大規模火災から5カ月。住居を失った被災住民らが20日、初めて一時帰宅を許され、現場に残されていた荷物などを持ち帰るため、火災後初めてそれぞれの部屋に戻った。
香港北部の大埔の高層住宅で11月に起きた火災は過去数十年で最も多くの死者を出した。複合施設の8棟のうち7棟を焼き尽くし、168人が死亡した。
住民約6000人は20日から順次自宅に戻り、荷物をまとめて持ち出すことが許可され、それぞれに3時間の一時帰宅枠が設けられた。全1700部屋に対応する必要があるが、当局は5月初めまでにこの措置を終わらせたい考えだ。
消防当局は920戸以上の住宅が損傷し、一部は火災で完全に破壊されたことを報告しており、当局は住民らに対し、目の当たりにする光景に動揺する恐れがあるとして注意を促した。政府当局が公開した画像には天井や壁が崩壊し、焼け焦げ、内部ががれきで散乱している部屋の様子が捉えられていた。
火災が起きた地区は「危険区域」として封鎖され、建物の構造が損なわれた場所では補強工事が行われている。そのため、帰宅する住民にはマスクやヘルメット、手袋の着用が求められた。
今後について、香港当局は同地での複合施設再建は「現実的ではない」と判断。火災前の市場価格で各部屋を買い戻すことを住民側に提案した。
住民の一人、ハリー・レオンさんは部屋に戻ることに対して「複雑な感情を抱いている」と語った。人生の大半を過ごした部屋を見たいと思う一方で、3時間というのはあまりにも短いと失望も口にした。
レオンさんは「実際には政府の提案を受け入れたくない人がかなりいると思う。ただ、他に選択肢がない。受け入れざるを得ない」と語り、「選べるなら本当は離れたくない」と続けた。
5月に一時帰宅を予定しているというベティ・ホーさんが30年以上住んでいた部屋から最も持ち帰りたいのは、子ども時代の写真が収められたアルバムだ。家族の「一生の財産がその建物の中にある」と話した。
ホーさんは現在、被災住民のために設置された近くの仮設住宅で暮らしている。年末までの滞在が許可されているが、その後の住居の不確実性に直面し、不安と無力感を感じているといい、「追い出されるのか?どこに住む場所を見つけるのか?」とため息交じりにつぶやいた。(編集/日向)











