韓国を訪問した北朝鮮の女子サッカーチーム一行が入国の際、「旅券」を提出した。北朝鮮は新憲法で韓国とは「二つの国家」と規定。

今回の対応はこれを反映したものだ。韓国紙は「その意味は軽くない」と指摘。韓国政府に「さらなる熟議と戦略的な検討が求められる」と呼び掛けた。

ハンギョレ新聞によると、北朝鮮の「ネゴヒャン(私の故郷)女子蹴球団」所属の選手やコーチ陣など35人が17日、アジアサッカー連盟(AFC)女子チャンピオンズリーグの準決勝のため、仁川空港を通じて入国した。一行はその際、これまで南北が互いを訪問する際に使用してきた「訪問証明書」ではなく、「旅券」を提出した。

北朝鮮は今年3月、憲法の領土条項などを改正し、大韓民国を(北朝鮮とは関係ない)別個の国家と見なすと宣言。入国時には韓国政府が発行した訪問証明書の代わりに「朝鮮民主主義人民共和国の旅券」を提出した。北朝鮮を、もはや「統一を志向する過程で形成される暫定的な特殊関係」(1991年南北基本合意書)ではなく、「国家対国家」の関係として扱ってほしいという明示的な要求とみられる。

困惑した状況に追い込まれた韓国政府は旅券を照合用としてのみ使用し、別途の入国査証(ビザ)は発給しなかった。査証の発給は北朝鮮を別個の国家として認めることになり、韓国の憲法条項と衝突するためだ。韓国憲法に従いながら北朝鮮側の要求に逆らわないよう、やむを得ず政治的な妥協案を選んだわけだ。

北朝鮮選手団は短ければ5日、長ければ1週間余り、韓国内に滞在することになる。

統一部が南北協力基金から3億ウォン(約3190万円)を応援団体に支援することを決めたことに対し、保守野党などは「北朝鮮チームを応援する北朝鮮追従の団体に血税をばら撒くものだ」と反発している。

ハンギョレ新聞は社説で「北朝鮮チームだけでなく、南北両チームを共に応援するために結成された団体に対し、もともと南北協力事業の支援のために編成された政府予算を執行するというのに、これほど激しく非難されるべきことだろうか」と論評。「ましてや、この資金にはチケット代や応援費用だけでなく、関係機関の行政費用も含まれている」と続けた。

社説は「敵対的な国家関係を宣言した北朝鮮が選手団を派遣しただけでも、大きな決断だ。ただし、北朝鮮選手団の『旅券提出』は、その意味が軽くない」と言及。「今回のような妥協案を北朝鮮が次回も受け入れるか分からない上、韓国の選手団が訪朝した場合、北朝鮮が逆に旅券の提出を要求する可能性もある。南北関係の変化した情勢を反映しつつ、韓国の憲法および国民の感情とも衝突しない精巧なプロトコルを作るために、さらなる熟議と戦略的な検討が求められる」と主張した。(編集/日向)

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