ドイツメディアのドイチェ・ヴェレ(中国語版)は3日、米国で施行される新たなグリーンカード(永住権)政策に在米華人から懸念の声が上がっていると報じた。

トランプ政権のザック・ケーラー報道官は先月22日、「グリーンカードを申請する外国人は特別な事情がない限り、一度母国に戻り、自国の米国領事館で申請しなければならない」と発表した。

なお、米紙ニューヨーク・タイムズによると、国土安全保障省(DHS)は後にこの発表について「ケースバイケースだ」と説明した。

米国市民権・移民局(USCIS)の現在の運用では、多くの場合、米国内で申請を提出し、そのまま米国内でグリーンカードを取得している。USCISのデータによると、2024年に米国のグリーンカードを取得した約140万人のうち、約80万人が米国内で移民資格の変更手続きを完了させていた。

ドイチェ・ヴェレによると、米国在住でちょうどグリーンカード申請を考えていたビクター・チャンさんは、中国にいる両親が送ってきたニュースのリンクを開いて初めて上記の変更を知った。チャンさんは米国で博士課程を修了後、人工知能(AI)のスタートアップ企業に入社し、H-1B(特殊技能職)ビザで働いている。グリーンカードの申請は順番待ちの状態にあるため、新規定が実施されれば影響を受けることになる。AI企業で勤務しているということもあり、現在の米中関係の中でなかなか中国に戻ることができないという。

ここ数カ月、中国はManusの買収案件を停止させたほか、AI分野の中国人材の海外渡航に対する制限も強化している。Manusをめぐっては、中国のトップレベルのAI人材に対し追加の渡航制限が課されているといい、関係者が出国する際には当局の許可を得る必要があると、ブルームバーグは報じている。こうした状況もあり、チャンさんはますます気軽に帰国できなくなった。

チャンさんは苦労して稼いだお金でチャンさんの米国留学を支え、チャンさんが米国に残ることを望んでいるという両親への感謝を口にしつつ、「自分は大国間の駆け引きの中の一つの駒になってしまった。中国で20年以上暮らし、米国でも11年間生活してきたが、それでも自分はどちらの国にも本当の意味では属していないように感じる」と語ったという。

米国で婚姻によるグリーンカードを申請した中国出身の女性アリス・ウーさんも、新たな政策に不安を募らせている。幼児教育を専攻していたウーさんは、留学費用を捻出できなかったため、2024年にオーペア(住み込みベビーシッター)制度を利用して渡米した。その後、現地の男性と知り合い、今年初めに結婚した。

しかし、渡米時に取得したJ-1(交流訪問)ビザは、申請者に移民の意思がないことを前提としているため、プログラム終了後の滞在猶予期間中に現地の男性と結婚したことが、今後中国で手続きを行う際に問題視されるのではないかと懸念している。たとえ申請が認められても、中国で大使館の面接を待つため長期間の別居を余儀なくされ、出産などの人生設計が大きく狂う可能性もある。

カリフォルニア州で20年以上の経験を持つ華人移民弁護士のアンドリュー・ホー氏は、トランプ政権が打ち出した新たなグリーンカード申請規定について、「長年認められてきた国内での身分変更手続きに新たな障害を設けるものだ」と批判。一方で、合法移民への制約強化は同政権の方針から予想された動きでもあったと明かした。

特に影響が懸念されるのは婚姻によるグリーンカード申請者だといい、これまで米国では、合法的に入国していれば、その後にビザが失効して不法滞在の状態になっても米国市民との正規の結婚が認められれば国内で永住権を申請できた。しかし、新規定によって出身国での手続きを求められた場合、過去の不法滞在歴が審査対象となり、再入国に支障が生じる可能性があるという。

ホー氏は、「制度の具体的な運用はまだ不透明だが、家族と長期間離れ離れになるケースも想定される」と指摘。制度発表後は問い合わせが相次ぎ、学生やH-1Bビザ保有者、研究者、新婚夫婦などの間で不安が広がっているといい、「米国での生活の先行きに対する戸惑いや不安から逃れられる人は誰もいない」と語った。(翻訳・編集/北田)

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