朝ドラ「花子とアン」(NHK)。6週「腹心の友」(5月5〜10日)、7週「さらば修和女学校」(5月12〜17日)で、青春の女学校編が終了しました。


なんといっても、卒業式でのブラックバーン校長(トーディ・クラーク)の挨拶にじーんっと来たので引用し、今一度噛み締めます。

「わたしの愛する生徒たちよ
われと共に老いよ
最上なものはなお後に来たる

今から何十年後かに、あなたがたがこの学校生活を思い出して
あの時代が一番幸せだった、楽しかったと心の底から感じるのなら、
私はこの学校の教育が失敗だったといわなければなりません

人生は進歩です

若い時代は準備のときであり
最上のものは過去にあるのではなく将来にあります

旅路の最後まで希望と理想をもちつづけ、進んでいくものでありますように」

女学校の日々を惜しむ心に、がつん!と未来に向けて、背中を押す。
すばらしい先生です。
その前に、「私たちの生涯のうちで一番幸せな時代は、この学校で過ごした日々です」と挨拶した畠山鶴子(大西礼芳)の立場は・・・という気もしないではないですが、校長も、女学校生活を大事にする気持ちをわかった上で、あえて、
未来に眼を向けさせているのでしょう。はな(吉高由里子)は、まったくいい先生と出会いましたね。

学び舎で大切に育まれたひな鳥たちは、いよいよ個々の人生に羽ばたいていきます。
既に、かなり、それぞれの生き方が明確になっていますので、「花子とアン」に見る「女子の生き方」をまとめてみます!

はな  仕事も結婚も

英語が大好き、「読んだ人が思い切り想像の翼を広げられるような!」「わくわくしたすてきな本を作りたいの」というはな。
ドラマでは、いったん、故郷の甲府に戻って教師になることに(土曜42回)
家族のためにも働こうとするはなですが、結婚も仕事もしたいと考えています。
腹心の友・蓮子(仲間由紀恵)からは、「与謝野晶子をご覧なさい」と励まされます(月曜31回)。それは、歌人として活躍しながら、結婚し、子供を12人も出産した、パワフルな女性なのでした。

蓮子  燃えるようなほんものの恋をしたい

与謝野晶子の「明星」を、兵隊になるという吉太郎(賀来賢人)に手渡す蓮子さま。
彼女は、燃えるようなほんものの恋をして、恋の歌をたくさん作ることを願いますが(月曜31回)、落ちぶれた家を救うため、九州の石炭王・嘉納伝助(吉田鋼太郎)のところへ嫁ぐことになってしまいます。

「お金で買われていくのと同じじゃない」とはなは、蓮子の気持ちが理解できず、責め立てますが、はなの身近にも、お金で買われた女性がいました。
妹のかよ(黒木華)です。

かよ 貧乏はやだ

貧しい家にお金を入れるために、紡績工場に出稼ぎに行っていたかよ。過酷な労働条件の中、励まし合った仲間がカラダを壊して、働けなくなってしまったことを機に、自分の生き方に疑問を覚え、工場を飛び出してしまいます(金曜41回)。
東京で仕事みつけると決意するかよ。彼女にも自立の芽生えが起こってきたようです。
はなにしろ、かよにしろ、先進的な考え方をもったおとう・吉平(伊原剛志)に似ていると母ふじ(室井滋)は思うのでした。

ふじ 家を守る母

「花子とアン」の最大の癒し・ふじ。学はないけど、人の気持ちを洞察する才能は天下一品。蓮子さまに「蓮子さんはもううちの家族じゃ」と言って、
「おかあと呼べし」と微笑むシーン(金曜35回)は出色の場面でした。

ふじは、木曜40回ではじめて東京に来るまでは、甲府から一歩も出たことがありませんでした。夫・吉平が外の世界の話を聞かせてくれることを喜びにして、3年近く家を離れていても、じっと待っているのです。
「3年も」と言われて「2年と10ヶ月」と訂正するところがかわいい。
娘たちが旅だっていくことについても、「おとうみたいに、甲府にいたら見られないものをいっぱい見て、いつかおかあに話してくれりょ」と送り出す懐の大きさ。こういう人がいるから、旦那も子供もがんばれるんですね。

こういう幸福もあるのだと思わされる中、こんな女性も・・・

富山先生 仕事に生きる

「つかみそこねた幸せはもう取り戻せないんです」
富山先生(ともさかりえ)のこの台詞は、世の中の、結婚できない、恋のできない女に刺さりました(水曜33回)。「あさイチ」で有働さんも反応してましたね。

はながバイトする出版社の編集長・梶原(藤本隆宏)と、逢い引きしていた富山先生ですが、結局「教職という仕事がいまの私の幸せです」と選択します。

男の身勝手(親の決めた人といったん結婚し、離婚後、また富山に求婚)に対する批判と、男に頼らなくても生きていく可能性を示してくれました。

余談ですが、梶原編集長って、はなのことを「小間使いさん」と呼んだり、
翻訳原稿が燃えて大変なときに、のんきに外でプロポーズしていたり、となんかズレてる印象。悪気なく、人の気持ちがわからない男の典型として描かれていた気がします。

醍醐さん ときめきを求めて

婚活に一生懸命だった醍醐さん(高梨臨)もついに、お医者様との縁談がまとまりそうになりますが、パルピテーション(ときめき)がないということで、
やめて、出版社に就職します。
純粋に恋をしたいと思う醍醐さんは、蓮子さまに近いですね。というか、醍醐さんは、もっとありのままに、はなが好きという自覚をもったほうがいいのではないかという気もします。
よけいなお世話ですが。ありのままに〜。

白鳥さん 出自をひた隠す健気さ

はなにずっと厳しく接していた白鳥さん(近藤春菜)が、実は山梨県出身だったことをカミングアウト(42回土曜)。
なまりの強さがコンプレックスで、必死に直して、隠して生きてきたのかと思うと、これまでの異様なまでの融通の効かなさ、はなへの執拗な厳しさも理解できますね。

とはいえ、美しく正しい言葉も大事ですが、方言にも、例えば、ふじの言葉にはあたたかさがあるし、標準語だけが正しく美しいということに決めつけない世の中になってほしいものですね、などとまじめに考えてしまいました。ありのままに〜。


以上、様々な女子の生き方をまとめてみました。ちなみに、ブラックバーン校長はミス・ブラックバーン。富山先生と同じく、教職に身を捧げているようです。
さて、最後に、女子ではないですが、朝市(窪田正孝)の名言(土曜36回)がすばらしかったので、記しておきたいです。

「一生懸命やって勝つことの次にいいことは
一生懸命やって負けることだ」

これって、仕事をとろうと、恋をとろうと、どっちもとろうと、都会に出ようと、田舎にいようと、どんな生き方でも、一生懸命やったらいいのだ、という女子へのエールのような気がします。
朝市、ほんと、いいやつだなあ。

それなのに、はなは、名言朝市よりも、ナマケモノを引き合いに、とんちんかんなことを言う、印刷屋の村岡英治(鈴木亮平)と恋をしてしまいそう。名言よりも、とんちんかんを選ぶのも、ひとつの女の生き方でしょうか。(木俣冬)

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