トランプ米大統領は5月13~15日の日程で中国・北京を訪問し、習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した。米側によると、首脳会談で両国は「戦略的安定の建設的な関係」の構築などで合意し大きな波乱はなく終わったが、その舞台裏では激烈な諜報戦や虚虚実実の駆け引きが繰り広げられていた。

AFP通信などが伝えた。

AFP通信によると、米国側は訪問に同行した職員や報道陣に帰国の際、中国側から受け取った物品は大統領専用機のエアフォース・ワン搭乗前に全て廃棄するよう求めた。そこには中国の政府関係者から受け取った立入許可証、使い捨て携帯電話、代表団のバッジなども含まれていた。これらの物品は搭乗直前に米国の担当者が回収し、タラップ下のごみ箱に捨てられた。

今回の訪中団は非常に厳しいデジタル・セキュリティーが適用された。訪中団は個人のスマートフォンではなく「クリーン機器」と呼ばれる臨時の携帯電話とノートパソコンを使用した。ホテルのWi-Fi(ワイファイ)や公共の場所でのUSB充電も制限を受けたようだ。

米国は中国国内の通信環境を高リスクのサイバー環境と判断。機密性の高い対話は電子盗聴が遮断された臨時の機微区画情報施設(SCIF)でのみ行われたという。

米中両国の当局者が水面下で争いを繰り広げる中、北京の現場でも摩擦が表面化。トランプ氏と習氏が北京の世界遺産「天壇公園」を訪問した際に中国側は米国当局者と随行の報道陣を部屋に閉じ込めた。

AFP記者の前でも米国側が車に戻ろうとしたところを中国側に制止された。

あるジャーナリストが「私たちは米大統領の車列に同乗している。それが分からないのか?」と訴えると、中国当局者は「中国側の警備の都合で許可できない」と答えた。米国側は声を荒げ、車列が出発する前に自分たちの車に戻ろうと、中国側を押し退けて進んだ。

これに先立ち天壇公園では米中両国の当局者が米シークレットサービスの隊員の武器持ち込みをめぐって対立した。北京で今年一番の暑さとなったこの日、太陽の下で約30分間口論が続き、中国側は隊員の武器持ち込みを断固として認めなかった。

米中両国の当局者は特に信頼醸成措置に関して、両国関係における「相互主義」の原則に言及することを好む。相互主義の原則はもろ刃の剣となり得る。習氏は9月に米ホワイトハウスを訪問する予定だ。天壇公園での対立の最中、ある当局者が習氏の米国訪問で何が起こるかについて話していた。

米中両国は相手国が訪問に同行する当局者や報道陣の人数などに制限を設けた場合、返礼訪問の際に必ず報復措置を取ることで知られている。AFP通信は「両国のスタッフにとっては長い年になるかもしれない」とも報じた。(編集/日向)

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